2020年11月5日、大掛かりなマイナーチェンジを果たしたレクサス ISが、日本で発売された。新型レクサス ISはエクステリアデザインの変更、ボディサイズの拡大、レクサス・セーフティー・センス+のアップデートに注目が集まるが、果たして従来モデルと比較してどのような変化を遂げたのか。マイナーチェンジ前後の新旧レクサス ISを比較してみよう。
これだけの対策を行いながらもタイヤの大径化を採用したのは、先述したグリップ力の向上だ。タイヤ外径を拡大させるとタイヤの接地面積が増え、前後方向へのグリップ力が強化される。コーナリング時にはコーナーの中心部へ引かれる力が車体に掛かるが、タイヤのグリップ力の強化でコーナーに引かれる力に対向できる力(コーナリングフォース)が発生し、安定してコーナーを曲がることができるようになるのだ。
ストッピングパワーもタイヤの大径化に頼るだけでなく、ブレーキディスクを大型化して強化した。新型では全車でフロント334mm(従来296mm)、リア297(同290mm)になっている。このサイズは従来のIS350とほぼ同等だ。
今回の新型レクサス ISの大掛かりなマイナーチェンジは、プレミアムスポーツセダンとして進化に値するものだ。ワインディングロードを法定速度で走っても、意のままに操縦できる楽しさを体感できるはずだ。ただ、エンジンに手が入らずダイナミックフォース以前の旧型を搭載し続けるのは、モデル末期だからなのか。かなり気が早いが、エンジンも新型に替わるはずの次期型の登場が待ち遠しい。(文:猪俣義久)