「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「レクサス RX」だ。

通常のコイルサスペンション仕様もバージョンSで試したが、こちらはLとは異なり明確に硬く、ステアリングを切った時の反応がより鮮やかだ。このあたりの性格分けはうまい。ただ、重心の高さを感じさせずスルリと回り込む感じや、姿勢のフラットさなどは基本的に変わらない。となれば、乗り心地の上質なエアサス仕様がベストチョイスといえるだろう。少し遅れて登場するハイブリッドのRX450hにも期待したいところだ。

FFモデルも試したが、こちらはリアにトルクが伝達されないぶん、パワーオンでの姿勢のブレやトルクステアが気になることがあった。やはりこのクルマは4WDが基本なのだ。このように走りの印象はとても良いし、質感の高いインテリアもさすがレクサス。もちろん室内空間も、リアシートの座面が低いのかやや太腿が浮き気味になるが、それでも十分に広い。

インテリアはレクサスの名にふさわしい上質なものだ。。バージョンLに採用された滑らかな肌触りのセミアニリンの本革シートは、身体を優しく包み込んでくれる。操作系では、今回初めて採用されたリモートタッチは操作ノブに指を添わせて動かすと、ナビの画面上に矢印が現れてパソコンのカーソルのように縦横無尽に移動する。行き先入力が短時間で行なえるのには感心した。

ひとつ残念な点は、フロントマスクが「背の高いIS」といった感じでやや線が細いこと。これで世界のイケイケのライバルと渡り合えるか、少し心配になった。力を誇示するのではなく、セダンの味を持つ真のクロスオーバーSUVをRXが目指したのはわかるのだが、レクサスらしさ、SUVらしさを感じさせる顔つきにしても良かったように思える。

画像: 日本ではハリアーだった先代より35mm長く、40mm幅広く、10mm高くなったのは、最大の市場である北米からのリクエストによるものだろう。

日本ではハリアーだった先代より35mm長く、40mm幅広く、10mm高くなったのは、最大の市場である北米からのリクエストによるものだろう。

■レクサス RX350 主要諸元

●全長×全幅×全高:4770×1885×1690mm
●ホイールベース:2740mm
●車両重量:1940kg
●エンジン種類:V6 DOHC
●排気量:3456cc
●最高出力:206kW<280ps>/6200rpm
●最大トルク:348Nm<35.5kgm>/4700rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:フロント横置き4WD
●10・15モード燃費:9.4km/L
●タイヤ:235/60R18
●当時の車両価格<税込み>:485万円

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