「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「ホンダ S2000」だ。

以前のS2000を思い起こせば、前期型の中でもとくに2003年のマイチェン前のモデルは気難しさもあった。パワーソースには超高回転型の2L「F20C」が与えられ、レブリミット9000rpmギリギリまで回すことを要求してくる。トランスミッション直付けタイプのシフトユニットは、剛性感あるギアチェンジで操ることができた。けれども、速く走らせようとすればするほど、その挙動を制することは難しかった。

その後、2005年から現行の2.2Lエンジンが搭載されたが、後期型はレブリミットを1000rpm引き下げトルクを増強するなど、どちらかというと間口を広げる進化を遂げた。さらに2007年には空力とサスペンションを洗練させて、より扱いやすくしたタイプSを追加。スポーツカーファンのニッチマーケットに訴える手法を忘れていないところがホンダらしい。

スポーツカーにはドライバーを寄せ付けないようなカリスマ性を持ち、運転する者を試すかのようなハンドリングを持つモデルと、誰もが気軽にスポーツドライブを楽しめるモデルの2つのタイプがあると思う。しかし、S2000はこのどちらにも当てはまらない。後者寄りではあるが、前者のようにある程度のスキルを持つドライバーにも喜びを与えるようなハンドリング特性を持ち合わせている。

タイプSで走るS2000のラストインプレッション。快晴の駿河湾に浮かんだ富士山の力強さとともに、その爽快感を忘れることはないだろう。

画像: タイプSの大きなリアウイングは、高速走行での安定感を増してくれる。

タイプSの大きなリアウイングは、高速走行での安定感を増してくれる。

■ホンダ S2000 タイプS 主要諸元

●全長×全幅×全高:4135×1750×1285mm
●ホイールベース:2400mm
●車両重量:1260kg
●エンジン種類:直4 DOHC
●排気量:2156cc
●最高出力:178kW<242ps>/7800rpm
●最大トルク:221Nm<22.5kgm>/6500-7500rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:FR
●タイヤ:前215/45R17、後245/40R17
●当時の車両価格<税込み>:399万円

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