1980年代、「クロカン」ブームを支えた4WDが、各自動車メーカーから続々と発売された。この連載企画では、今でいうSUVとは、ひと味もふた味も異なる「泥臭さやワイルドさ」を前面に押し出したクロカン4WDを紹介する。第20弾は「初代パジェロ」だ。
オフロード4WDとして初めてワゴンを設定した初代パジェロ
発売当時のボディタイプは、2ドアのクローズドボディの「メタルトップ」と、幌をまとった「キャンバストップ」の2種のみだった。翌83年には、メタルトップにオフロード4WDとしては初のワゴンを設定。さらに5ドアのロングボディに「エステート」も追加した。
エステートはサードシートを備えた7人乗りで、フルフラットシートにもできることで注目を集めた。86年には、のちの主力となるロングボディにルーフを高めた「ミッドルーフ」をラインナップした。
当初の搭載エンジンは、2346cc直4ディーゼルターボ(4D55型・最高出力95ps/最大トルク18.5kgm)と同型エンジンの自然吸気(最高出力75ps/最大トルク17.8kgm)、そして1997cc直4のガソリンエンジンG63B型(最高出力110ps/最大トルク16.7kgm)の3基を設置した。翌83年、メタルトップに145psを誇るガソリンターボを搭載し「国産クロカン4WD最速」と言われるようになった。
84年6月の改良で、ワゴン全車にディスクブレーキ化を実施して制動性能を高めてた。85年にはディーゼルターボ車に4速ATを追加。さらに88年には、2476cc直4インタークーラー付ディーゼルターボ(4D56型・最高出力94ps/最大トルク23.0kgm)と2972cc V6(6G72型・最高出力150ps/最大トルク23.5kgm)ガソリンエンジンを搭載した。当時のオフロード4WDといえばトルクフルでローコストのディーゼル車が人気だったが、パジェロは先見の目でガソリン車も拡充させていった。