V型8気筒エンジンを手に入れてハイパフォーマンス市場に挑む
いわゆるDセグメントのプレミアムサルーン市場では、BMW3シリーズという絶対的なベンチマークを中心に、アウディA4、そしてメルセデス・ベンツCクラスがギリギリのつばぜり合いを繰り広げている。そして今、その戦いの熱気が、これらのモデルをベースに仕立てられたハイパフォーマンスモデルの分野にも飛び火しつつある。
ここでも王者として君臨するのは、3シリーズをベースとするBMW M3だ。競技用車両のベース用としてハイチューンの直列4筒エンジンを積んでデビューしたM3は、2代目で直列6気筒エンジンを手に入れ、卓越した動力性能と運動性能で、このカテゴリーを席巻する。
その対抗馬としてアウディが投入したのが、当初はV型6気筒ツインターボを積み、現行モデルでは真っ先にV型8気筒エンジンを手に入れたアウディS4、そしてRS4である。メルセデス・ベンツも、先代CクラスからAMGモデルで戦場に挑む。しかしV型6気筒スーパーチャージャーのC32AMG、V型8気筒のC55AMGは、ともに残念ながらM3の牙城を脅かすことはできず、むしろアウディRS4にもパフォーマンスで先行されてしまった。
しかし、他のセグメントでは絶対王者として君臨するメルセデス・ベンツが引き下がるわけはない。昨年登場した新型Cクラスをベースとしたハイパフォーマンスモデルは、いよいよAMG独自開発のV型8気筒6.2L DOHCユニットを搭載して世に送り出されることとなった。
奇しくも最大のライバルであるM3も、新型ではV型8気筒エンジンを手にし、しかもセダンも用意する。アウディRS4は旧世代となったが、その実力はいまだ一線級。そしてさらに、レクサスまでもがこの市場にIS Fを投入してきた。競争は激化必至。さて、この中でC63AMGは、果たしてどれだけ鮮烈な存在感を示すことができるだろうか。