「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「シビック タイプR ユーロ」だ。
ホンダ シビック タイプR ユーロ(2009年)
待望の新型シビック タイプRがやってきた。英国工場で製作されるこのモデルはこれまで欧州専用車だったが、今秋(編集部註:2009年秋)から日本では「シビック タイプR ユーロ」の名で発売される。ただし、2010台のみの限定販売だ。
では、走り出してみよう。まず感じたことは、乗り心地の良さ。しかもこの手のクルマにしては室内が静かだ。その原因はすぐに判明した。国内向けの和製タイプRのタイヤはグリップ重視のBS RE070だったが、こちらはRE050Aを装着。さらにエンジンにはタイプR系では初めて2次バランサーを装着してノイズと振動を激減している。また、ドアのロアにリップシールを加えた3重シール構造とするなど、ノイズやバイブレーションの対策を施してある。
やはり、欧州ではただホットな性能だけのハッチバックでは生き残れない。ライバルはBMW 1シリーズやゴルフGTIだ。ラグジュアリーな乗り味も重要となってくる。しかし、日本では「タイプR」と名の付く限り、「らしさ」も必要にはなってくる。
まずエンジンはバランサーが付いたおかげで、とてもスムーズに感じる。最高出力は201psだが、VTECのハイカムへ切り換わるポイントが5400rpmへと下げられ、結果トルクバンドが広くなったこともあり、下からとてもスムーズに加速する。