外観を眺めただけではジャンル分けは困難
「JC」という型式名称をそのまま用いたネーミングは日本と中国だけのもの。ダッジが放つこのニューモデルは、世界では「ジャーニー」と呼ばれる。最近の世界販売の好調を反映してか、ノルウェーはオスロ近郊で行われた国際試乗会にて対面したこのクルマ、実際のところ長期旅行を意味するその名が、まさにぴったりの1台に仕上がっていた。
見ての通り、外観を眺めただけではジャンル分けは困難だ。フォルムはミニバン的だが、そこまで上背はなく、明確なフードの存在とあわせて背の高いステーションワゴン風とも言える。下半身は逞しく、大径タイヤとそれを包み込む大型フェンダー、さらには余裕のある地上高がSUVっぽさも漂わせている。クロスオーバーと呼ぶのが、結局は適当だと言えそうだ。
しかも、フロントマスクにはクローム仕上げの十字グリルを戴く。全長4888mm×全幅1834mm×全高1672mmというスリーサイズは、ホンダ・オデッセイより全方位に数cmずつ大きい程度だが、その存在感は相当なものだ。
室内レイアウトは3列シート7人乗り。そのプロポーション、さらにはスライドドアを使わず4枚ともヒンジドアとしていることからも、JCがたとえばアメリカンミニバンの雄、グランドボイジャーのような正統派ミニバンとは違った方向を志向していることは明らかだ。しかしながらシートアレンジは多彩。日本車にだって決して負けてはいない。
まず前席は、助手席に備わる背もたれの前倒し機構が目をひく。トレイ状になったところに小物を置くこともできるし、長尺物を積むにも重宝するはず。また、その座面を引き起こすと、そこにはさらに大型の収納ボックスも用意されている。
2列目シートは60: 40分割可倒式。前後120mmのスライドとリクライニングも可能だ。また、この2列目も足元フロア部分に大容量の収納を用意。子供の遊び道具などを入れておくことができる。散らかりがちな車内、これは重宝するはずだ。
ヒンジ式のドアは90度まで大きく開き、しかも2列目シートはワンタッチで座面を跳ね上げ前方にスライドできるため、3列目への乗り込みも手間取ることはない。この3列目はさすがに広大とは言えず、足元スペースを確保するには2列目をある程度前に出す必要がある。しかし補助用としては十分。もちろん人を乗せない時は荷物スペースに充てることもできる。荷室の最大容量は2296Lというから、これで足りないという事態には、そうそう陥ることはないだろう。