「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回はSTIが手がけた「スバル エクシーガ チューンド by STI」だ。
スバル エクシーガ チューンド by STI(2009年)

写真のWRブルーマイカのボディカラーは、2009年12月20日受注分までの限定モデルだった。
スバルが初めて送り出したミニバン、エクシーガはレガシィの基本コンポーネンツを使って作られただけに、ノーマルでもその走りのよさはお墨付きだった。乗り心地の良さとハンドリング性能の両立、そして何よりスバルならではのシンメトリカルAWDによって道を選ばぬ機動力が持ち味だ。
それを今回、スバルのモータースポーツ部門を受け持つ「STI(スバルテクニカインターナショナル)」が、さらなる磨きこみを行なったコンプリートモデルをプロデュースした。その名も、「エクシーガ 2.0GT チューンド by STI」。
開発責任者は、スバル車の開発を長年勤めた辰巳英治氏だ。この人がSTIを担当してからのチューニングは、「強靱かつしなやかな走り」を標榜して、走りの良さを極めるとともに、乗り心地の良さを少しも失わない商品力の高さが持ち味だ。
今回のエクシーガでも、サスペンションの前後スプリングとダンパーを強化し、タワーバーなどでの補強やブッシュの一部をピロボール化を行ないつつ、上手に入力を分散して乗り心地の悪化を抑えている。
実際に乗ってみると、乗り味はいたってスッキリとしたものになった。ボディの揺れが少なく、足元からの振動も極めて少ない。ノーマルだとカドのない大きく動く足元にゆったり感を与えてくれていた反面、少々ばたつく面も見受けられた。
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エンジンそのものには手は入れられていない。タワーバーを装着し、サスペンションやロアアームバー、リンク類などをチューニング。