2008年に登場したジャガーXFは、「新しいジャガー」を象徴するモデルとして注目を集めた。保守的なそれまでの英国高級車的イメージからどう変化したのか。Motor Magazine誌ではジャガーXF 3.0ラグジュアリーと同クラスのライバルであるBMW 530iとの比較を行いつつ、両者が狙う高級サルーンのスポーツ性、プレミアム性について検証している。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年8月号より)

生まれ育った道が走りを鍛える

例えばのハナシ、英国の片田舎に今でも数多く存在する、道幅が狭くアップダウンと細かなコーナーが連続し、その上で両サイドに石垣や垣根が迫って見通しの利かないB級ロードを、いわば一種の可変ゲインステアリングを採用した530iで駆け抜けるというのは、あまり楽しい作業とは言えないはずだ。その点、より自然体で「望んだ以上の動きはしない」XFのハンドリングの感覚は、そうしたシーンではよりリラックスした走りを味わわせてくれるに違いない。

結局のところ、やはり「走り」はそのクルマが生まれ育った道が鍛えるのだ。となると、そんなイギリスのB級ロードに条件が近い日本の走りの環境には、前述のようなXFの持つブリティッシュネスなダイナミズムの性能が大いに似合っているのではないかと、そうも思えてくる。

「アウトバーンがクルマを鍛える」。こうしたよく耳にするフレーズが、多くのドイツ車の際立つ高速性能を象徴的に表しているのは確かな事柄。一方でアウトバーンとはかけ離れた環境の道を進もうという時、それが足かせとなって実現できないこともあったのかも知れない。

実際のところ、より日本的な速度域で気分の良いハンドリング感覚を味わうことができたのは、今回は530iではなくXF。ジャガーが提唱する新時代のスポーツサルーンとは、要はそんな乗り味の持ち主なのであろう。(文:河村康彦/Motor Magazine 2008年8月号より)

ヒットの法則

ジャガー XF 3.0ラグジュアリー 主要諸元

●全長×全幅×全高:4970×1875×1460mm
●ホイールベース:2910mm
●車両重量:1750kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:2967cc
●最高出力:243ps/6800rpm
●最大トルク:300Nm/4100rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速AT
●車両価格:650万円(2008年)

BMW 530i 主要諸元

●全長×全幅×全高:4855×1845×1470mm
●ホイールベース:2890mm
●車両重量:1650kg
●エンジン:直6DOHC
●排気量:2996cc
●最高出力:272ps/6650rpm
●最大トルク:315Nm/2750rpm
●駆動方式:FR
●トランスミッション:6速AT
●車両価格:764万円(2008年)

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