「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は取り上げるのは「ホンダ CR-Z」だ。

コーナーにちょっと高めの速度で進入していくと、フロントはやや重い印象ながら、切り込んでいくほどに旋回方向にしっかりと速度を上げていく。さらにスロットルを開けていってもステアリングが取られることもなく、旋回中のコントロール性も非常に高い。フロントがグイグイと引っ張っていってくれる感じがあって、接地性の高さがうかがえる。

なによりインサイトよりホイールベースが50mm短く、逆にトレッドは40mmもワイドだから、横方向の安定感も抜群だ。リアタイヤがお尻の近くにある感じだから、ステアリングを切るとグッとGが立ち上がっていくキビキビ感をもちつつ、粘り強い踏ん張り感もあり、ダイレクトなハンドリングが存分に味わえる。しかも車重もインサイトよりCVT車で30kg(MT車は60kg)も軽い。

スポーツモードにしてアクセルペダルを踏み込むと、5000rpmあたりまで直線的に加速していく。その味わいは自然吸気エンジンの素直な吹け上がりに近いものだ。グッと背中を押される感じが高回転まで続き、一度回転が落ち着いてからCVTが変速に転じ、モーターのアシストによって次なる加速態勢に入る。エンジンとモーターとCVT、ハイブリッドならではの動力連携によって、力強さとレスポンスの良い走りが巧みに生み出されている。

あらためてコクピットに目を向けると、淡いブルーのメーター類がドライバーに向いており、操作系もステアリングまわりや手元近くに集約されていて機能的だ。囲まれ感のある室内の作り自体も、立体的で上質だ。ビジュアル的にも操作フィール的にもドライブする楽しさを演出している上に、質感も同時に満たしてくれている。見て触ってのフィールも合格で、新世代のスポーツモデルとしての魅力は十分に感じ取れる。

ハイブリッドというと「エコ=我慢」というイメージが強くなるが、CR-Zなら街乗りからワインディングまで走りを楽しめそうだ。ダイレクト感のあるハンドリングと、伸びのあるパワフルさに、間違いなくスポーツモデルと断言することができる。

画像: デザインは初代CR-Xと初代インサイトの雰囲気を見事に融合しながら斬新さを感じさせてくれる。

デザインは初代CR-Xと初代インサイトの雰囲気を見事に融合しながら斬新さを感じさせてくれる。

■ホンダ CR-Z アルファ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4080×1740×1395mm
●ホイールベース:2435mm
●車両重量:1160kg
●エンジン種類:直4 SOHC+モーター
●排気量:1496cc
●エンジン最高出力:83kW<113ps>/6000rpm
●エンジン最大トルク:144Nm<14.7kgm>/4800rpm
●モーター最高出力:10kW<14ps>/1500rpm
●モーター最大トルク:78Nm<8.0kgm>/1000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:25.0km/L
●タイヤ:195/55R16
●当時の車両価格<税込み>:249万8000円

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