2008年のジュネーブオートサロンでデビューした3代目ランチア デルタは、当時のランチアのコンセプトに則りエレガントなデザインに生まれ変わった。Cセグメントのコンパクトカーというより、上質な仕立ての5ドアサルーンという雰囲気があった。ここでは発表まもなくイタリアで開催された国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年9月号より)

デルタは2009年後半に日本上陸、続いてイプシロンの5ドアも

試乗したのは165psを発揮する2Lターボディーゼル搭載車で、6速MT仕様だった。走り出してまず感じるのは、ステアリングの操作感が軽いということ。ボディ全体も軽い印象を受ける。下から十分なトルクがあるディーゼル車をMTで運転すると、中低速域ではとかく「クルマが軽い」という印象を受けがちなのだが、このデルタには軽さに「しなやかさ」が加わっている。軽いだけだと色々なことに敏感に反応するようなイメージで落ち着かず、運転していて疲れるものだが、こうしたしなやかさがあればそんなことにはならない。

試乗コースが高速道路とコーナーがあまりないカントリーロードだったので、ひたすら「快適、快適」といった感じだった。優雅なスタイリングとパッケージ、ディメンジョンから想像したとおりの走り味だったと言えるだろう。

しかし、ワインディングロードで走ることができなかったのは非常に残念。いくらロングホイールベースの快適志向とは言え、そうした状況では「しなやかさ」に「粘り」がプラスされるのではないかと思うからだ。そのあたりを確認できなかったのは無念だ。

ところでドライバーズシートに座った印象だが、リアシートとは対照的にタイトでコクピット感覚が十分だ。数cmレベルだがキャビンが後方から前方へかけて絞り込むような造形となっており、またセンターコンソールの幅が広めであるためだろう。こうした後席と前席のスペースの造り分けは見事である。

さて、ランチアは欧州での好調な実績を背景にして2009年から本格的に世界展開を開始することになる。日本をはじめオーストラリア、ロシア、南アフリカ、メキシコなどにネットワークを構築していくのだ。

そしてデルタは来年後半、日本へ上陸することになる。その仕様はまだ欧州にも登場していないタイプになる。200psを発揮する1.8Lターボ(ガソリン)を搭載し、6速ATが組み合わされるものだ。その価格はマーケティング担当者によると、「ゴルフとアウディA3の間に入れたい」とのことだ。すると日本では300〜350万円ということになるだろうか。そうであれば、かなり注目度が高いのではないかと思う。

そして、ランチアブランドは、デルタを皮切りに日本での展開を本格化することになる。その第二弾は来年9月に欧州で登場するニューイプシロンの5ドアだそうだ。イメージリーダーに続いて量販モデルの投入で、ランチアブランドを根付かせようという戦略だ。その成り行きは大いに注目される。(文:荒川雅之/Motor Magazine 2008年9月号より)

画像: インテリアにもツートンカラーが採用されている。これによって乗員へ包まれ感、安心感を与えるのだそうだ。

インテリアにもツートンカラーが採用されている。これによって乗員へ包まれ感、安心感を与えるのだそうだ。

ヒットの法則

ランチア デルタ 2.0 Multijet 165 CV 主要諸元

●全長×全幅×全高:4520×1797×1499mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1355kg(EU)
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●排気量:1956cc
●最高出力:165ps/4000rpm
●最大トルク:360Nm/1750rpm
●駆動方式:FF
●トランスミッション:6速MT
●最高速:214km/h
●0→100km/h加速:8.5秒
※欧州仕様

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