2008年、2代目MINIにジョンクーパーワークス(JCW)が正式グレードとして追加された。初代ではチューニングキットとして用意されていたJCWが、2代目ではコンプリートモデルへと進化。スペイン・マヨルカ島で国際試乗会が行われた。ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年9月号より)
4気筒のガソリン直噴ターボは1598ccの排気量から211psを発揮
「この車はコンペティションカーではなく、一般の人たちの車である」。このフレーズはミニの考案者アレック・イシゴニスが60年代の初め、ミニのチューニングを企画したジョンクーパーに語ったものだ。
しかし結果的には、イシゴニスの定義はポジティブに覆され、クーパーの手によりチューンされたミニは、その後モータースポーツの世界で大きく成功した。とくに1964年と65年、67年にラリーモンテカルロでは優勝している。以来「クーパー」はミニのスポーツブランドとして定着したのだ。
この伝統はMINIにも受け継がれている。初代MINIではクーパー/クーパーSに、またF1やWTCCなどのサポートレースとしてポピュラーになった「MINI ジョンクーパーワークス チャレンジ」参戦用に、最高210psまでパワーアップするジョンクーパーワークス(JCW)チューニングキットがオプションとして用意された。そして2代目MINIでは、JCWをハイエンドグレードとして設定した。
ニューJCWの核となるエンジンは4気筒のガソリン直噴仕様で、ツインスクロールターボを組み付け、1598ccの排気量から211psを絞り出す。リッター当たりの出力は132psとターボならではのパワーで、スポーツカーのレベルと言えよう。また260Nmの最大トルクは1850rpmという低回転域から湧き上がり、さらにクーパーSでお馴染みのオーバーブーストで280Nmを発揮することも可能である。カタログデータでは0→100km/hまでの加速が6.5秒、最高速度は238km/hとなっている。