「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、日産 リーフ(プロトタイプ)だ。

エンジン搭載車とは異なる、今までにない運転感覚

アクセルペダルに力を込めていくと、スーッと乱れのない加速感。自分で運転する電動車はゴルフ場のカートくらいしか乗ったことはないけれど、滑らかでけっこう力強い加速感は、もちろんその比ではない。最高出力は80kW(109ps)と、けっしてパワフルなスペックではないが、それでもスピードメーターの表示はあっという間に100km/hを超えた。これが、発進から最大トルクが生み出せるEVの強みだろう。

エンジン車のような音がない分、加速の実感はタイヤやステアリングから伝わる手応えが大半を占める。このダイレクト感が、新しくて面白い。

リーフならではの個性をもっとも感じたのは、中速から高速で曲がるコーナリングだ。重量のあるバッテリーをボディのほぼ中央の低い位置に搭載しているため、重心が安定している。ノーズからリアが一体となって向きを変えるような、そんな印象を受けた。

ドライビングポジションはティーダと同じ設定になっているという話だったが、実際にはもっとスポーティで大きなクルマを操っている感じがする。何に近いのか考えてみたが、思い浮かばない。リーフ開発陣は、その走りをエンジン車に近づけるのではなく「今までにない運転感覚」を狙ったからなのかもしれない。

ひとつ気になったのは、ブレーキのフィーリングがスイッチ的というか、あまりストロークがない感覚だったこと。タイヤは専用チューンのブリヂストン エコピアで、転がり抵抗の低さは抜群だ。できれば、ウエット時の挙動も試してみたかったところだ。

短時間の試乗だったので、もっと走ってみたかったというのが本音。それでも、クルマとしての魅力は十分に感じられた。

画像: ゼロ発進時から急速に立ち上がるトルクは、低回転域から恐ろしくフラットなままリミットまで続く。

ゼロ発進時から急速に立ち上がるトルクは、低回転域から恐ろしくフラットなままリミットまで続く。

■日産 リーフ(プロトタイプ) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4450×1770×1550mm
●ホイールベース:2700mm
●パワートレーン種類:交流同期モーター
●バッテリー容量/出力:24kWh/90kW以上
●最高出力:80kW<109ps>
●最大トルク:280Nm<28.6kgm>
●駆動方式:横置きFF
●航続距離:160km以上(米国LA4モード)
●タイヤ:205/55R16

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