アウディのコンパクトSUVであるQ3には、初代からRSモデルが設定されていたが、これが2代目へと進化を受けて日本に導入されている。さらにフラッグシップSUVであるQ8にも新たにRSモデルが投入されるということで、アウディSUVにとってRSの存在意義や期待したいことを考察してみた。(Motor Magazine2021年3月号より)

並み居る強豪を抑えてSUVのニュル最速を記録

もともと精悍なQ8のスタイリングがさらにスポーティに、そしてさらに迫力あるデザインに生まれ変わった。RS Q8の画像を見て、多くのファンがそう感じたことだろう。前述のとおりアウディSUVのRSモデルはこれまでRS Q3だけだったが2020年の秋、これにRS Q8が加わった。

そのベースとなったQ8は2019年に発売されたフルサイズSUVのクーペ版だが、スタイリッシュなフォルムや優れた実用性が人気で、予想を大きく越える受注が舞い込んでインポーターを驚かせているそうだ。

RS Q8は、全長約5m、ホイールベース約3mの余裕あるボディに4L V8ツインターボエンジンを搭載している。実に最高出力600psと最大トルク800Nmを絞り出す。しかも、48Vマイルドハイブリッドを装備してドライバビリティを改善したほか、気筒休止機構と相まって燃費の改善にも効果を発揮するという。駆動方式はもちろん、トルセンデフタイプCを用いたアウディ自慢のフルタイム4WD「クワトロ」である。

サスペンションはQ8と同じエアスプリングをベースとしながら、専用チューニングを施したRSアダプティブエアサスペンションを装備。4WS機構と連携させることで低速では小気味いい回頭性を、高速域では安定したコーナーリングを実現したという。

エクステリアデザインではグロスブラックにペイントされた立体的なハニカムグリルがダイナミックな佇まいを印象づけているほか、ルーフ後端にはシャープなエッジが効いたスポイラーを装着。ちなみに、タイヤはなんと23インチが標準装備となる。

インテリアの装備にはいずれも最高級の素材が用いられており、スポーツシートはアルカンターラとレザーの組み合わせ。また、アルミでふち取りされたピアノブラック調のダッシュボードは、ラグジュアリーな中にもスポーティな雰囲気を醸し出している。

もちろん走りの性能も第一級で、本国の発表によれば0→100km/h加速は3.8秒でクリアする。しかも、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェでは7分42秒253という驚異的なタイムを叩き出し、並み居る強豪を抑えてSUVのファステストラップ記録を更新したというから、その速さはホンモノ。迫力あるアピアランスとともに、こちらも世界的なヒット作となりそうな気配だ。(文:大谷達也/写真:井上雅行・アウディAG)

画像: 4L V8ツインターボエンジンは600ps/800Nmを発生し、RSモデルならではのパフォーマンスを発揮する。(アウディRS Q8)

4L V8ツインターボエンジンは600ps/800Nmを発生し、RSモデルならではのパフォーマンスを発揮する。(アウディRS Q8)

アウディRS Q3主要諸元

●全長×全幅×全高:4505×1855×1605mm
●ホイールベース:2680mm
●車両重量:1730kg
●エンジン:直5 DOHCターボ
●総排気量:2480cc
●最高出力:294kW(400ps)/5850-7000rpm
●最大トルク:480Nm/1700-5850rpm
●トランスミッション:7速DCT(Sトロニック)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・63L
●WLTCモード燃費:9.8km/L
●タイヤサイズ:255/40R20
●車両価格(税込):838万円
*RS Q3 スポーツパック車両価格863万円

アウディRS Q8主要諸元

●全長×全幅×全高:5010×2000×1700mm
●ホイールベース:2995mm
●車両重量:2410kg
●エンジン:V8 DOHCツインターボ
●総排気量:3996cc
●最高出力:441kW(600ps)/6000rpm
●最大トルク:800Nm/2200-4500rpm
●トランスミッション:8速AT(ティプトロニック)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・85L
●WLTCモード燃費:7.1km/L
●タイヤサイズ:295/35R23
●車両価格(税込):1869万円

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