アウディのコンパクトSUVであるQ3には、初代からRSモデルが設定されていたが、これが2代目へと進化を受けて日本に導入されている。さらにフラッグシップSUVであるQ8にも新たにRSモデルが投入されるということで、アウディSUVにとってRSの存在意義や期待したいことを考察してみた。(Motor Magazine2021年3月号より)

車高の高さがネガにならず快適性へ絶妙に振り分けた

ドライブトレーンはコンパクト系RSモデルの文法どおり、直列5気筒エンジンとハイドロリックマルチプレートクラッチ(HMPC)の組み合わせとなる。他ブランドでも広く採用されているこの電子制御油圧多板式クラッチのシステムだが、実はソフトウェアの設定次第で特性が大きく異なるという。

そこでアウディは冬になると北極圏にある雪上コースでクワトロをテスト。その評価結果にしたがってソフトウェアをバージョンアップする作業を毎年、繰り返している。「同じHMPCでも、他ブランドの完成度が70〜80%だとしたらクワトロは95%。そのくらいの違いがあります」。前述したオーストリアンアルプスの試乗会で、クワトロの開発を担当するエンジニアは、そう語ると胸を張った。

サスペンションの基本形はベースモデルと同じ前:ストラット、後:4リンク式ながら、車高が下がるRSスポーツサスペンションを標準装備。さらに減衰力を電子制御できるRSダンピングコントロールサスペンションもオプションで設定されている。

エクステリアはグロスブラックのフロントグリルなどRSモデルではお馴染みの装備に加え、ワイドタイヤをカバーするためRSモデル専用のフェンダーフレアを採用。結果的に全幅が広がって力強いフォルムを生み出している。

そんなRS Q3に富士スピードウェイで試乗したところ、冒頭で説明したような安定したスタンスで高速コーナーをクリアしたばかりか、低速コーナーでもターンインでスムーズにノーズの向きを変え、まったく持て余すところがなかった。これは重心高が高いSUVとしては驚くべきことと言っていい。さらにコーナー出口では400psのパワーが4輪から路面へと確実に伝えられ、2輪駆動とは別次元のダッシュ力を披露。RSモデルの底力を見せつけたのである。

もっとも、同時に試乗したRS3セダンに比べればロール量も大きく、俊敏さという点ではRS Q3が一歩引けをとるかもしれない。ただし、これも快適性を重視してのことだろう。しかも、高速コーナーではSUVとは思えないほどのスタビリティを発揮するのだから、RS Q3の魅力は2代目に生まれ変わっても健在と言って間違いなさそうだ。

画像: 圧倒的パワーを誇るフラッグシップSUV。(アウディRS Q8)

圧倒的パワーを誇るフラッグシップSUV。(アウディRS Q8)

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