「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、トヨタ MR-SをベースにGAZOOレーシングがプロトタイプとして公開した「GRMN スポーツハイブリッド コンセプト」だ。

さすがはニュル仕込み。走りのしっかり感は抜群だった

画像: コクピットはMR-Sの面影を残しているが、カーボン調パネルの採用でスポーツ感は満点。トランスミッションは電気式CVT。

コクピットはMR-Sの面影を残しているが、カーボン調パネルの採用でスポーツ感は満点。トランスミッションは電気式CVT。

試乗時間はわずか5分。サーキットの連絡路を往復走行するだけ。だが、それにもかかわらずこのクルマ、意外にも主張はしっかりとしていて分かりやすかった。連続走行が続いていたためか常にエンジンがかかっている状態だったが、右足に力を込めるとモーターならではのレスポンスと滑らかで強力なトルク感で背中をジワッ押し出す。さらに踏み込むとゴーッと力強い排気音とともに、ガソリンエンジンならではのレスポンスで一気に加速する。

コーナーではフロントのモーターが手伝ってくれているのかステアリングを切り込んだ時のノーズの逃げが少なく、狙ったラインにスーっとクルマを乗せていくトレース性を発揮してくれる。また、高い速度域でもドッシリとした安定感が感じられるのは、いい意味での重さがあるからで、ボディの上下動は感じるものの、ワイドトレッドによって高い旋回Gをキープする。

オープンのボディがグラグラする感じや、旋回中にステアリングが取られるようなこともなく、ボディ剛性の高さや強さも大いに感じられる。さすがはニュルブルクリンクで走りこんできたあとがよくうかがえる。また、フロントにモーターを置いたことで接地感も常に感じられ、ミッドシップならではの旋回性を保ちながら、緊張感を強いられないのも魅力的だ。

ハイブリッドで速さを求めると、レクサス GSやLSのように重さがいつもネックになる。速いけれど曲がりにくかったり、ドライバーにいつまでも荷物を背負っているような不自由さを感じさせる。

それに比べると、このモデルは低重心で、必要最小限のモーターをフロントに搭載することでミッドシップの切れ味を引き出してくれている。これなら環境と走りが両立され、胸を張って走りが楽しめそうだ。こんなハイブリッド スポーツなら大いに歓迎だ。このプロトタイプのノウハウとフィードバックしたスポーツカーが1日でも早く登場することに期待したいものだ。

画像: プロトタイプではあるがボディの剛性感は高く、走りっぷりはかなりしっかりしたものだった。

プロトタイプではあるがボディの剛性感は高く、走りっぷりはかなりしっかりしたものだった。

■GRMN スポーツハイブリッド コンセプト 主要諸元

●全長×全幅×全高:4195×1895×1170mm
●ホイールベース:2535mm
●車両重量:約1300kg
●パワーユニット種類:V6 DOHC+2モーター
●排気量:3.3L
●出力:4Lガソリンエンジン相当の加速性能
●トランスミッション:電気式CVT(パドルシフト付き)
●駆動方式:ミッドシップ4WD
●タイヤ:255/40R19

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