ワッペングリルから一新、まったく違うフロントグリルに
ゴルフ6は、比較的オーソドックスなデザインといえるかもしれないが、実はゴルフ6の最大の注目点はそのデザインにあった。デビュー時には、フォルクスワーゲンはこの新しいデザインについて、積極的にプロモーションを行なった。
ゴルフ4以来、フルモデルチェンジのたびにゴルフはデザインが話題になっているが、ゴルフ5では上級モデルに新たにワッペングリルが採用され、ゴルフ6では、そのワッペングリルのニューバージョンが採用される予定だった。ところが開発終盤になってそれがお蔵入りになり、まったく違うフロントグリルが採用されたのである。
このデザイン変更の背景には、やはり経営変革があった。経営改革の一環で、ゴルフ5で問題になっていた欠点を改善した6が生まれたのだが、その改革を象徴するのが、ゴルフ6のデザインだった。
新しいデザインを主導したのは、2007年2月にフォルクスワーゲン グループのデザイン部門トップに就任したワルター・デ・シルヴァだった。1月には新会長のヴィンターコルンが就任しているから、これは経営改革にともなう人事だったといえる。デ・シルヴァは就任するとすぐに、もうほとんど決まっていたと思われる新型ゴルフ6のデザインを修正させた。実際には、公式に就任した日付より前から作業を始めていたといわれるが、ゴルフ6の発表は2008年10月なので、直前でのデザイン変更だった。
実は2006年8月に、ゴルフ6も含めたフォルクスワーゲンの新しい顔になるとして、ワッペングリルのニューバージョンを採用したコンセプトカー「IROC」が発表されていた。そのようなブランド戦略の方向性を外にアピールしたあとでの変更だから、ゴルフ6のデザイン変更はまさしく大変革である。
ゴルフ6の新しいデザインの核心的部分は、横一文字のシンプルなグリルを持つフロントマスクだ。そしてそれも合わせて、ボディ全体に水平基調の直線が多く使われている。このデザインがゴルフのみならず、今後のフォルクスワーゲンの新しいデザインであると説明され、実際その後そうなっていく。