1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。今回は、6代目ゴルフのスポーツモデルについて語ろう。

W12エンジンを搭載したスーパー ゴルフも登場

画像: 2011年発売のGTIエディション35。バンパー下部のフィンや、ヘッドランプ外側のLEDデイタイムランニングライトが外観上の識別点。

2011年発売のGTIエディション35。バンパー下部のフィンや、ヘッドランプ外側のLEDデイタイムランニングライトが外観上の識別点。

足まわりでのトピックスは、電子制御ディファレンシャルロック システムのXDSを搭載したことで、これは従来からある低ミュー路用システムEDSの機能を拡張したもので、高速コーナリングでのアンダーステアを軽減させた。

ゴルフ6 GTIは、特別仕立てのモデルもいくつかつくられた。2011年に販売されたのは、GTIの35周年を記念するGTIエディション35。過去にもエディション25や30などがあったが、今回の35は235psまで強化されたエンジンを積んだ。このエンジンは、ゴルフ5 GTIやゴルフ6 Rと同じEA113系統のブロックを使用しており、すでにゴルフ5のGTIピレリやGTIエディション30で230psまでチューンした実績があったので、使いやすかったようである。

そのほか、アディダスとコラボした限定モデルのGTIアディダスがあったほか、オーストリアのヴェルターゼで毎年開催されるGTIミーティングで、ワイドトレッドを持つGTIエクセッシブが発表されている。

カタログモデルとしては、日本では馴染みがないが、ディーゼルのGTDもあり、出力はやや落ちるがGTIと同じボディを持ち、いわばディーゼル版GTI的存在となっていた。

さらに、正確にはGTIとは言えないが、6のGTIはまだほかに、過激な装いのモデルが2つあった。

画像: なかなか刺激的なボディワークのニュルブルクリンク24時間レース参戦車両、ゴルフ24。GTI 35というのは車名ではない。

なかなか刺激的なボディワークのニュルブルクリンク24時間レース参戦車両、ゴルフ24。GTI 35というのは車名ではない。

ゴルフ24は、GTI35周年を記念して2011年のニュルブルクリンク24時間レースに参戦するために開発されたレーシングカーで、3台がレースに参戦した。さすがにGTIとは名乗っておらず、基本ボディこそGTIがベースになっているようだが、アウディ由来の2.5L 直列5気筒エンジンを搭載しており、駆動は4WDだった。最大出力は450ps程度である。

もう1台はW12エンジンを搭載した、GTI W12-650(タイトル写真のモデル)。これはゴルフ6のデビュー前に発表され、ボディ形状はゴルフ5をベースとしていた。そのためエクステリアデザインは一見してゴルフ5のように見えるが、実はゴルフ6の要素も含められていた。グリルはゴルフ6と共通する横一文字のシンプルなもので、これは新型のデザインを予告するコンセプトでもあった。6LのW型12気筒はグループが持つエンジンであることはあきらかだが、これはリアミッドに搭載され、名称の「650」は最高出力を示していた。(文:武田 隆)

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