1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。今回は、6代目ゴルフのスポーツモデルについて語ろう。

R32は4気筒エンジンに換装して「ゴルフR」に

画像: 4気筒の2Lエンジンを搭載したゴルフR。ヨーロッパ仕様の最高出力は270psだった。

4気筒の2Lエンジンを搭載したゴルフR。ヨーロッパ仕様の最高出力は270psだった。

ゴルフのスポーツ指向は、ゴルフ6の時代にまた目立ち始めた感があった。まだゴルフ7の時代ほどでないが、コンセプトモデルがつくられたり、レース参戦も行なった。

まずカタログモデルでは、GTIの上に来るゴルフの最速モデルとして、ゴルフ4および5にはV6エンジンを積むR32があったが、ゴルフ6ではそれが4気筒に載せ換えられて、名前も新たに「ゴルフR」となった。4気筒化したことで、ゴルフ(フォルクスワーゲン)が進める、エンジンのダウンサイジングを、高出力モデルでも実践した形である。

さすがに6気筒にあった特別感はやや薄れたが、2Lまで縮小しながらも、ターボ化したこともあり、出力はR32の250psから256ps(日本仕様)まで増強された。このエンジンは、ゴルフ6 GTIが採用した新しいEA888ではなく、ゴルフ5 GTIと同じEA113系統のブロックを使っていた。また外観についても、先代のR32では特別なワッペングリルを付けていたのが、ノーマルと同じグリル形状になり、ゴルフらしく自己主張は抑えめになっていた。

ゴルフ6で気を吐いたのは、GTIの一族である。まずカタログモデルのGTIそのものは、「GTI is back」を掲げて存在感を強めていたゴルフ5 GTIの、順当な進化版として2009年に登場した。

画像: 2009年に登場したゴルフ6 GTI。ノーマルモデルと共通のグリル形状となったが、赤いラインやハニカムグリルがGTIらしさを主張。

2009年に登場したゴルフ6 GTI。ノーマルモデルと共通のグリル形状となったが、赤いラインやハニカムグリルがGTIらしさを主張。

ゴルフ6 GTIの外観は、ゴルフ5 GTIと同じ程度の仕立てで、フロントのGTIのロゴや、グリル内の赤ライン、グリルのハニカムパターンなどで、GTIらしさ、スポーツモデルらしさをアピールした。これらはゴルフ5以来、ゴルフ8まで続くGTIの定番仕立てとなっている。

ただゴルフ5 GTIと違うのは、グリル形状がRと同様に、特別なワッペングリルではなく、ノーマルモデルと同じ形状になったことである。これによってゴルフ6 GTIは特別感をやや失ったかもしれないが、ゴルフとしての統一感は強まり、ゴルフの基本的デザインの求心力のようなものが示された形である。ふり返るとゴルフ4 GTIは特別感をなくされていたから、ゴルフ6 GTIはほどよい特別感になった感じで、やはりスポーツモデルでも自己主張しすぎないのが、ゴルフらしさなのであった。

エンジンは、ゴルフ5 GTIが200psだったところ、211psまで出力を向上。11psの差ではあるが、2L TSIのエンジンは大きく変わって、ボア×ストロークを含めて排気量こそ変わらないものの、ブロックは新しいEA888となっており、出力を高めながら、燃費(CO2排出量)も改善していた。

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