「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、クリーンディーゼルを搭載した三菱 パジェロだ。

ツキの良さが魅力のビッグトルクエンジン

画像: 最高出力は20ps、最大トルクは7.2kgmもアップしながら、燃費は約7%も改善されたディーゼルターボ。

最高出力は20ps、最大トルクは7.2kgmもアップしながら、燃費は約7%も改善されたディーゼルターボ。

とくに驚かされたのが、急角度でしかもラフな登坂シーンだ。インストラクターの指示どおりに坂の手前で一時停止。目の前の坂は歩いて上るのもキツそうな急勾配だが、パジェロはそこからアクセルをゆっくりと踏み込めば、スルスルと見事に登り始める。

「坂の途中で止まってもOKです」と言われて、おそるおそる停止。斜めに傾いたままでアクセルを開けると、何事もなかったかのように再び登り始める。各種電子制御デバイスの助けはもちろんあるのだが、やはり低回転から生み出される豊かなトルクの支えがあるからこそ、涼しい顔でハードなコースを乗り越えることができる。

加えて、この改良されたディーゼルターボエンジンは、実にツキがいい。アクセルのオン/オフにリニアに反応し、シチュエーションごとに期待するとおりのトルクをレスポンス良く発揮してくれる。わずかな幅しかない二本の丸木橋を、タイヤを落とさないようにそろそろと乗り越える難所があったが、ここでも加減速のコントロール性の高さを実感できた。

トルクフルでしかもツキがいいから、ストレートでスピードのノリもいい。2トン超もある巨体を、スポーティに振り回すこともできる。エンジンサウンドには、いかにもディーゼルらしい「ガラガラ音」は残っているが、総じてなかなかスポーティな印象さえ感じさせる改良だ。

今回はクローズドのオフロードコースだけの試乗だったが、いずれあらためてターマックでの運動性能や、長距離ドライブでグランドツーリングカーとしての才能についてもチェックしてみたいものだ。

画像: トルクフルでしかもツキがいいディーゼルターボは、2トン以上もある車重をものともせずに加速していく。

トルクフルでしかもツキがいいディーゼルターボは、2トン以上もある車重をものともせずに加速していく。

■三菱 パジェロ ロング スーパーエクシード 3.2 ディーゼルターボ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4900×1875×1870mm
●ホイールベース:2780mm
●車両重量:2290kg
●エンジン種類:直4 DOHCディーゼルターボ
●排気量:3200cc
●最高出力:140kW<190ps>/3500rpm
●最大トルク:441Nm<45.0kgm>/2000rpm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:フロント縦置きパートタイム4WD
●10・15モード燃費:10.2km/L
●タイヤ:265/60R18
●当時の価格<税込み>:476万7000円

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