形状、質感、好み・・・いちばん触れる重要なパーツが「シフトノブ」
ロードスターの大ファンでありながら、RSファクトリーステージ代表である田畑さんは、アッセンブリー交換となってしまうようなパーツの一部分とか、雪の多い地方でニーズがある車高アップアイテムとか、じつにマニアックなオリジナル商品を多数開発している。その中でも、密やかにロングランを記録しているのがオリジナルシフトノブ「Jimmy」(ジミー)だ。
ジミーは、常連客の「よしむら@奈良さん」との雑談がきっかけで誕生したパーツだと言う。その開発秘話をよしむらサンに伺った。
「田畑さんとのお付き合いはもう20年以上になります。いつものように足まわりの雑談をした後に、シフトノブの話題となりました。田畑さんも私も、いろいろなシフトノブに交換するも、なぜか違和感があり、最終的に純正シフトノブ(NA型純正)に戻ってしまうんです」
結局、純正品の扱い易さを再確認して話は終わり・・・のはずだったが、さらに議論は白熱し、「なぜ純正のシフトノブは扱いやすいのか」を徹底的に二人で分析し、ある結論にたどり着いたと言う。
「純正シフトノブは上面がドーム状になっていて、そのまま側面へ繋がり、さらに緩やかな曲線を描いて下部に向かって絞られている。シフトノブ上面のドーム状が手の平を返してもひっかかることなく、側面の緩やかな曲線が均等に各指に当たり、力が分散される。そして裾に向かって絞られていることで、強く握らずともすっぽ抜けず、結果的に扱いやすい、そんな結論に至りました」
結論が出たなら、それに勝るシフトノブが欲しくなるもの!偶然にも、よしむらサンはCAD(キャド:コンピュータ上での製図)が使えたので、ついに実行に移す。開発テーマは「純正シフトノブの扱いやすさを継承しつつ、スポーツ走行時のフィーリングに重点を置いたオリジナルシフトノブ」だ。よしむらサンがデザインを担当し、田畑代表が試作及びテストを行うことになった。そしてついに試行錯誤を20回も繰り返し、たどり着いた究極の形状が完成した。
発売から18年が経過、今でもコンスタントに売れ続けるロングセラー製品
「手になじむデザインを幾度となく検討した結果、シフトノブの上面の高さを少し抑えて、支点を下げることでダイレクト感が増したんです。これが確実にゲートへと導き、しかも気持ちいいシフトフィーリングを実現してくれました。とくにトップ形状とサイドのラインは、田畑さんが幾度も調整を重ねたこだわりのポイントです」
「材質はステンレスで削りっぱなしの目の細かいヘアライン仕様にしました。これが使い込んでいくと少しずつ渋い光を放ちます。愛車と対話したぶんだけ、シフトノブの質感が変化していく。私のJimmyも良い感じに仕上がっています」
現在は、ステンレス製のヘアライン仕様(5500円)の他に、ショットブラスト仕様(6380円)、そして本革コート仕様(1万3200円)の3タイプをラインアップする。18年前にNA/NBロードスター用を発売してからまもなく累計1000個に到達する「ステンレスシフトノブ Jimmy」。良いものは何年経とうが売れ続けるのだ。ちなみにNC用の「ロングJimmy(6600円)」もあるのだという。