2021年4月18日に開催されたF1第2戦エミリア・ロマーニャGPで、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが優勝を飾った。開幕戦では予選でメルセデスを圧倒してポールポジションを獲得したのに決勝では2位、今回はポールポジションを奪われたのに快勝。これはどういうことだったのか。なぜ開幕戦のように予選で圧倒できなかったのか。なぜ今回のレースでは勝てたのか。エミリア・ロマーニャGPを振り返ってみよう。

互角の戦いを見せるフェルスタッペンとハミルトン

フェルスタッペンは予選Q1から順調に速さを見せ、Q2を予定どおりミディアムタイヤで通過すると、Q3では前戦に続くポールポジションを狙っていた。ところが、最終アタックでルイス・ハミルトン(メルセデス)にわずかに0.087秒届かず3番手となってしまう。

これについてフェルスタッペンは「Q3ではラップをまとめきれませんでした。いくつかミスをしてしまいました。それでは予選のラップはいいものになりません。1回目のアタックではセクター1でほかのマシンの影響を受けてうまくいかなかったので、そこで大きくタイムを上げられると思い、2回目のアタックでは少しプッシュを強めたのですが、ターン3の出口で膨らんでしまい、タイムに響きました。こうしたことは起こるものですが、完璧なラップとは程遠いものでした。予選を終えてこのように感じるのは久しぶりなので自分にショックを受けています」とコメント。珍しくミスがあったのだ。

画像: レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。予選でこそポールポジションを獲得できなかったものの、序盤に主導権を握ると、レースをコントロールして完勝した。

レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。予選でこそポールポジションを獲得できなかったものの、序盤に主導権を握ると、レースをコントロールして完勝した。

決勝レースは、雨のためウエットでのスタートとなったが、ここでフェルスタッペンは完璧なスタートダッシュを決めると、ハミルトンのインを奪って見事にオーバーテイク。ここで主導権を握り序盤で5秒前後のアドバンテージを築いた。

攻防はその後も続いたが、コース状況がウエットからドライへと変化する中でのタイヤ交換でも先手を取ったフェルスタッペンが首位をキープ。31周目にハミルトンがスピンを喫してノーズにダメージを負いタイムロスしたことで、今回の優勝争いが決することになった。

ただそれでも、ハミルトンはその直後に後続が起こしたアクシデントで赤旗中断になるという幸運もあって、傷ついたマシンを修復した上、ラップダウンからも復活、さらにタイヤも交換して、リスタート後に猛チャージを見せて、なんと2位まで順位をあげてレースを終えている。

レース結果だけを見ると、フェルスタッペンとハミルトンは22秒もの大差がついているが、油断できない存在である。

ホンダF1山本雅史マネージングディレクターは「シーズンの序盤戦が非常に大事だと思って臨んでいますが、2戦目でフェルスタッペン選手が初勝利を挙げてくれたことを本当に嬉しく思っています。今日の表彰台でRed Bull Racing Hondaという名前を聞いたときには、グッとくるものがありました。レース前に突然雨が降るという難しいコンディションの中で、フェルスタッペン選手の雨の中の走らせ方、うまさが光り、本当にいいレースをしてくれました。また、我々のマシンが十分に戦えることがよく分かったレースでもあるので、改めてここからも一戦一戦大事に戦わなくてはいけないと感じています。ハミルトン選手とフェルスタッペン選手の戦いはこれからも続いていくと思いますが、今日は改めてハミルトン選手の速さが光ったレースでもあり、この先も楽なレースにはならないでしょう。我々にはあと21戦が残されているのみです。全力でレースに挑んでいきます」と語っている。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

「今日の優勝は本当にうれしいですし、この勝利はチームとHondaのメンバー全員のものだと思います。今日はいいスタートを切れたことがカギだったと思います。昨年はいつもウエットタイヤでのスタートに苦しんでいましたが、改善のためにみんなで懸命に努力してきました。特にレース序盤のコンディションが非常に難しかったですし、コースアウトしないように走り続けることが本当に難しかったのですが、結果的にトラブルフリーでレースを終えることができました。後ろからルイス(ハミルトン)が追ってきていたので、僕がレースを支配したと言えるほど速かったわけではありません。赤旗中断からの再開後にあそこまで上がれたということは、彼のマシンに速さがあったということだと思います。勝利できたのはチームが正しいタイヤ選択をしてくれたからですし、すべてをうまくマネージしてくれました。まだまだ僅差で、改善することがありますが、今日のところは結果に非常に満足しています。次戦のポルトガルは素晴らしいサーキットなのでレースが楽しみですし、その後のバルセロナはどんなところかよく理解できているサーキットです。これからどこまで行けるか分かりませんが、今のところはいいシーズンのスタートを切れていると思っています」

画像: レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン(左)とセルジオ・ペレス。決勝でペレスはいいところがなかったが、予選2番手と速さを証明。チームとして戦うことができそうだ。

レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン(左)とセルジオ・ペレス。決勝でペレスはいいところがなかったが、予選2番手と速さを証明。チームとして戦うことができそうだ。

一方、予選2番手と好調だったセルジオ・ペレスは、コースアウトやスピンなどでリズムを作れず、最終的に11位でフィニッシュしている。

セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

「今日のコンディションはとても難しく、いくつかのミスが結果に響いてしまいました。タイヤを一定の温度に保つのに苦しみ、セーフティカー走行中にコントロールを失って10秒ペナルティにつながってしまいました。もちろん、マシンに慣れることや今日の出来事から学ぶことは重要ですが、気分は落ち込んでいて、自分自身にがっかりしていますし、チームにもとても申し訳ないです。リスタートの時点では表彰台は狙えると思っていましたし、マシンのペースもよかったので、1-2フィニッシュも可能だったと思います。今は次のレースに切り替え、チームとハードワークをして、強くなって戻ってきたいと思います」

画像: エミリア・ロマーニャGPのタイヤ戦略。完璧なレース展開を見せたフェルスタッペンに対して、ハミルトンはコースアウトして大きくタイムロス。リタイアも考えられるような状況から、赤旗中断という幸運にも恵まれて2位でフィニッシュしている

エミリア・ロマーニャGPのタイヤ戦略。完璧なレース展開を見せたフェルスタッペンに対して、ハミルトンはコースアウトして大きくタイムロス。リタイアも考えられるような状況から、赤旗中断という幸運にも恵まれて2位でフィニッシュしている

次戦、第3戦ポルトガルGPは4月30日にポルトガル南部のポルティマオ近郊のアルガルベ・サーキットで開幕、5月2日に決勝レースが行われる。

2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGP決勝 結果

1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)63周
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+22.000s
3位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+23.702s
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+25.579s
5位 55 C.サインツ(フェラーリ)+27.036s
6位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)+51.220s
7位 10 P.ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)+52.818s
8位 18 L.ストロール(アストンマーティン・メルセデス)+56.909s
9位 31 E.オコン(アルピーヌ・ルノー)+65.704s
10位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+66.561s
11位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+67.151s
12位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)+73.184s

2021年F1ドライバーズランキング(第2戦終了時)

1位 L.ハミルトン(メルセデス) 44
2位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 43
3位 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス) 27
4位 C.ルクレール(フェラーリ) 20
5位 V.ボッタス(メルセデス) 16
6位 C.サインツ(フェラーリ) 14

2021年コンストラクターズランキング(第2戦終了時)

1位 メルセデス 60
2位 レッドブル・ホンダ 53
3位 マクラーレン・メルセデス 41
4位 フェラーリ 34
5位 アルファタウリ・ホンダ 8
6位 アストンマーティン・メルセデス 5

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