まさかのアクシデントを乗り越えて、最終SSでオジェが逆転勝利
王者オジェが、エバンス、ヌーヴィルとの僅差の戦いを制して見事な優勝を飾った。
オジェはラリー初日の金曜日のSS1でパンクして出遅れた順位を徐々に取り戻し、2日目の土曜日午前に首位を奪取。しかし、午後には再度のパンクでせっかく築いたリードを吐き出すなど出入りの激しいラリー展開だった。
そして2番手のエバンスと6.9秒差、3位ヌーヴィルとは10.4秒差で迎えた最終日の朝、まさかのアクシデントに見舞われる。サービスを出てこの日最初のステージ、SS17へと向かうロードセクションでなんと一般車に追突され、ヤリスWRCの右側ドアを大きく損傷させてしまったのだ。
ドアは大きく凹み、走行中に容赦なく風が侵入してくる状態でSS17、SS18とタイムロスを喫したオジェはエバンスに首位を奪われてしまう。続くSS19でもエバンスに遅れをとりその差は3.9秒に。さらに、SS19でベストタイムをマークしたヌーヴィルも4.1秒差に迫り、最終SS20を迎えて、ラリーは三つ巴の戦いになる。しかし、オジェはまだ勝利を諦めていなかった。
14.09kmの最終パワーステージで、運を天に任せての大勝負に打って出たでオジェはベストタイムとなる8分14秒0を叩き出す。注目が集まる中、最後のアタッカーとなったエバンスはステージフィニッシュ目前の最終コーナーで大きく姿勢を乱して土手にヒット。最後の直線のスピードが鈍って8分18秒5のタイムに留まり、オジェはわずか0.6秒差で再逆転に成功した。
ドラマチックな展開で今季2勝目を挙げたオジェは「(ロードセクションでの事故は)ショッキングな出来事で、終わったと思ったけど、幸いクルマの走行には大きな支障はなかった。でも、まさか勝てるとは思わなかった」とコメント。
オジェはこれで開幕戦に続き優勝+パワーステージ1位のフルポイント30点を獲得し、再びポイントリーダーに立った。マニュファクチャラーランキングは、オジェとエバンスが1-2フィニッシュを飾ったことで、トヨタがトップの座を守り、ヒュンダイとの差を27ポイントに拡大した。
なお、開幕2戦が終了した段階でWRC史上最年少でドライバーズ選手権首位に立っていたカッレ・ロバンペラは、デイ1でのコースオフによりリタイアとなった。
次戦第4戦ラリー・ポルトガルは、5月20~23日にポルトガル南部のマトショニスを起点に開催される。2年ぶりに開催されるこのイベントは、今シーズン最初のフルグラベル(未舗装路)ラリーとなる。
2021 WRC第3戦クロアチア・ラリー 結果
1位 S.オジェ(トヨタ ヤリス WRC)2h51m22.9s
2位 E.エバンス(トヨタ ヤリス WRC)+0.6s
3位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+8.1s
4位 O.タナック(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+1m25.1s
5位 A.フルモー(フォード フィエスタ WRC)+3m09.7s
6位 勝田貴元(トヨタ ヤリス WRC)+3m31.8s
7位 G.グリーンスミス(フォード フィエスタ WRC)+3m58.8s
8位 C.ブリーン(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+4m28.2s
9位 M.オストベルグ(シトロエン C3 ラリー2)+10m00.8s
10位 T.スニネン(フォード フィエスタ WRC)+10m29.3s
2021 WRC ドライバーズランキング(第3戦終了時)
1位 S.オジェ(トヨタ) 61
2位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ) 53
3位 E.エバンス(トヨタ ) 51
4位 O.タナック(ヒュンダイ) 40
5位 K.ロバンペラ(トヨタ) 39
2021 WRC コンストラクターズランキング(第3戦終了時)
1位 トヨタ 138
2位 ヒュンダイ 111
3位 Mスポーツ フォード 42