V8エンジン並みのトルク感がある130psのモーターを搭載
NAチューンも、あらかた行き着くところまで来た。なにか、今までとは違った切り口で、カスタムの提案ができないか? と、日々考えていたS2レーシングの菅原さん。そんな時、たまたまビートルをベースにしたEVを造っているOZ(オズ)コーポレーションを知った。
近所だったこともあり、OZ代表の古川さんに「ロードスターでEVをやりませんか?」と相談してみたところ、以前にNAロードスターのEVを製作したことがあるとの返事が・・・。そんな経緯でNAチューンに新しい風を吹かせるべく、EVロードスターのコラボ企画がスタートした。
外観はS2レーシングならでは、クラシカルな「コードネーム タイプF」をチョイス。このエアロは1950年代のクラシックスタイルをイメージして製作されたものだ。アメリカンコブラといわれ、現在も人気のキットである。
NAロードスターの代名詞でもあるリトラクタブルヘッドライトを廃した専用のボンネットを使うことで、フロントマスクとフェンダーを一体化し、美しいラインを描くルックスに仕上がっている。ボディは純正のクラシックレッドにオールペンされ、レーシングストライプがスポーティな雰囲気を醸し出している。
搭載するEVシステムには、130psのDCブラシモーターを使用。初期トルクが大きいモーターはV8エンジン並みのトルクを発生するので、まるで大排気量車に乗っているような感じだという。
本来ならEVはトランスミッションを必要としないはずだが、このクルマにはDCブラシモーターに専用のアダプタープレートを装着することで、純正の5速マニュアルトランスミッションをそのまま利用しているのだ。
日産リーフのバッテリーセルを使用した電池モジュールは、ボンネットとトランクに配置され、満充電で約100km走行できる。環境性能が重視されがちなEVだが、楽しいクルマを提案できるベースとして、オープンカーのロードスターは最適だろう。新しいカテゴリーとしてEVコンバートを注目していきたい。
鮮やかなストライプが入るボンネットにはダクトが設けられているが、これはモーターのブラシ冷却に利用される。トランクには2つの電池モジュールが設置されるが、なるだけ車体の中央寄りの低い場所に置くなど、運動性能にも配慮されている。未体験のロードスター、どんな走りを披露してくれるのか。