低音が特長の「ソノス」。録音時の音響環境を再現する「没入型3Dサウンド」
アウディは、クルマゆえの車内音響空間への課題に対し、長年に渡って研究開発を行っている。車両全体やシャシの開発から品質保証まで、さまざまな専門分野のエキスパートが「Rustle(ざわめく) and Rattle(ガタガタ音)」(ラッスル&ラトル)と呼ばれるチームを編成し、不快なノイズの低減への努力を続けているのだ。
その徹底さは、タッチスクリーンからのノイズへにも向けられるほどだ。ちなみに、車内でのガタガタ音やきしみ音といった不快ノイズは、50ヘルツ以下の低周波振動が引き起こすそうだ。
そうした中、アウディは音響の新パートナーとしてアメリカの音響メーカー「ソノス(Sonos)」を指名した。臨場感溢れるサウンドを特徴とするこれまでの「バン アンド オルセン(Bang & Olufsen)」と違い、低音を強調するサウンドが魅力という。
バン アンド オルセンが中高年をターゲットとしていることに対し、ソノスで若い層へ訴求しようとする試みで、Q4 eトロンで初採用となったのはその延長線上だ。今年半ばに登場する他のコンパクトモデルにも採用が予定されている。
こうした、アウディの車内音響への探求心は留まりを知らない。現在研究の中心となっているのが、「没入型3Dサウンド」と呼ばれるものだ。録音時の音響環境とまったく同じ再生が可能で、五感すべてに訴えかけることで、まったく新しいエンターテインメント体験ができるという。ただし、それは完全な自動運転車にのみ実用化できるものだそうだ。
また、5G時代が到来する中、SIMカードと高性能レシーバーモジュールを搭載して、クルマそのものをレシーバーとして活用する、マルチチャンネルのオーディオストリーミングの実現にも邁進している。