留まることを知らないクルマの電動化の波。それにともない、内燃機関主流の時代では馴染みのなかったクルマ用語が、これまた次から次へと登場してきている。そんな中「ちょっと乗り遅れたかもしれない」と不安を感じたあなたのために、ベーシックな電動化モデル関連用語の解説を10回に分けてお届けする。掲載第7回目は、CHAdeMO(チャデモ)についてだ。千里の道も一歩から!なのである。

日本発の急速充電用標準規格のこと

CHAdeMO(チャデモ)とは、BEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド)などの電動化モデル用急速充電の規格の名称だ。これは、高電圧の直流電流で急速充電する方法をルール化したもので、このルールを守っていれば、どのメーカーのBEVやPHEVでも同じ充電器で急速充電が可能となる。

こうした標準化された規格がない場合、自動車メーカーが、それぞれに独自の充電方式を採用することになり、それがEV普及の大きな障害となってしまう。そのため、2010年にトヨタ自動車と日産自動車、三菱自動車、富士重工業(当時/現在のSUBARU)、東京電力の5社が幹事となってCHAdeMO協議会が設立され、電動化モデル用急速充電の標準規格である「CHAdeMO方式」が誕生したのだ。ちなみに、名称は「Charge de move:動くための充電」、「de:電気」、「充電中にお茶でも」の3つの意味を含むという。

チャデモ方式のプラグには、2つの大きな送電用のコネクタと、小さな6つのコントロールライン、2つのCAN(自動車用LANプロトコル)通信用のコネクタが備わっている。車両と充電器の双方で情報をやりとりしながら、安全な充電を実現しているのだ。

画像: CHAdeMO(チャデモ)方式は日本車はもちろん、輸入車でも多くのモデルが対応可能となっている。(日産e-NV200)

CHAdeMO(チャデモ)方式は日本車はもちろん、輸入車でも多くのモデルが対応可能となっている。(日産e-NV200)

ちなみに欧米メーカーは、交流と直流を1つにまとめた「コンボ方式」を採用している。また、中国は独自のGB/T方式を採用している。ただし、中国は次世代方式としてチャデモ方式(名称は、チャデモ3.0/チャオジ)を採用すると発表している。

この次世代のチャデモは、コンボやGB/Tとの互換性を有しており、また500kW超級の高出力にも対応しているのが特徴だ。それ以外にも、テスラやポルシェは独自方式の急速充電方式を採用し、独自の充電インフラを整えている。

日本ではチャデモ方式が市場を席捲しているが、世界市場での規格統一はできていないというのが現状であり、将来的にどの方式が世界標準となるのかも見えていない。世界各国の家庭用コンセントの形が違うように、EV用の急速充電器も世界各地でバラバラになるのではないだろうか。(文:鈴木ケンイチ)

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