全20SSのうち、12SSでトップ4タイムを記録
WRC第4戦ラリー・ポルトガルは2021年シーズン最初のグラベル(未舗装路)イベント。勝田はこのラリーに過去3回出場しているが、トップカテゴリーのWRカーによる出場は今回が初めて。また、今シーズンから全マニュファクチャラーに供給される、ピレリのグラベル用タイヤを履いてのラリーも今回が初めてだったため、路面に合ったコンパウンドのタイヤをいかに選び、タイヤをマネジメントするかがポイントになった。
勝田は開幕から3戦連続で総合6位に入り、前戦のクロアチア・ラリーではSSベストタイムを2回記録するなど、今シーズン大きく成長し注目されているが、今回のラリー・ポルトガルでは初日のデイ1で3回のトップ4タイムを記録。一時はヤリスWRC勢最上位に浮上するなど、またも世界を驚かせた。
土曜日のデイ2も勝田の快進撃は続き、チームメイトである7度の世界王者、セバスチャン・オジェと何度も順位を入れ替えるなど、表彰台も狙える位置でハイレベルな戦いを展開し、オジェとわずか1.5秒差の総合4位で最終日に向かうことになる。
迎えた最終日の日曜日は、完走することを重視した走りに変更。順位を落とすことなく最後まで走りきり、WRCキャリア自己最高順位となる、総合4位でラリーをフィニッシュした。
最終的にはオジェとの差は60秒以上に広がったが、ワークスドライバーと遜色のない速さをアピール。ドライバー選手権ランキング6位に上昇、WRCのトップカテゴリーにあって目の離せない存在となってきた。
勝田貴元(トヨタ ヤリス WRC)
「難しいラリーで、どのステージも非常にトリッキーでした。土曜日の夜に1度だけ危ない場面がありましたが、大きな問題はなく乗り切ることができましたし、チームはいつものように素晴らしい仕事でクルマを直してくれました。決して楽な週末ではなかったですし、特に最終日は自分にとって厳しいものでしたが、それでもキャリア最高の結果で走り終えることができました。また、トップドライバーたちと一緒に戦えたことも嬉しく思います。以前と比べれば確実に一歩前進したと思いますが、まだまだ改善すべきことは多いので、正しい方向に進み続けるために、これからも努力し続けます」
次戦は、6月3日から6日にかけてイタリアのサルディニア島で開催される、第5戦「ラリー・イタリア サルディニア」。このグラベルラリーのステージは全体的に高速で道幅は狭く、道の表面は砂状のグラベルに覆われているが、クルマが何台か走行すると下から石や岩盤が現れ、深い轍が刻まれる。また、この時期は例年気温が上がることが多く、ドライバーとクルマにとって非常に厳しいラリーとなる。
2021 WRC第4戦ラリー・ポルトガル 結果
1位 E.エバンス(トヨタ ヤリス WRC)3h38m26.2s
2位 D.ソルド(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+28.3s
3位 S.オジェ(トヨタ ヤリス WRC)+1m23.6s
4位 勝田貴元(トヨタ ヤリス WRC)+2m28.4s
5位 G.グリーンスミス(フォード フィエスタ WRC)+4m52.7s
6位 A.フルモー(フォード フィエスタ WRC)+5m03.4s
7位 E.ラッピ(フォルクスワーゲン ポロ GTI R5) +9m37.2s
8位 T.スニネン(フォード フィエスタ WRC)+11m20.0s
9位 M.オストベルグ(シトロエン C3 ラリー2)+12m01.5s
10位 N.グリアジン(フォルクスワーゲン ポロ GTI R5) +12m35.8s
2021 WRC ドライバーズランキング(第4戦終了時)
1位 S.オジェ(トヨタ) 79
2位 E.エバンス(トヨタ ) 77
3位 T.ヌーヴィル(ヒュンダイ) 57
4位 O.タナック(ヒュンダイ) 45
5位 K.ロバンペラ(トヨタ) 41
6位 勝田貴元(トヨタ) 36