8世代目となったポルシェ911シリーズ。その中でも特別な存在のタルガ、さらにフラッグシップのターボとコンパクトな718ケイマンの高性能モデルの3つの魅力を探る。(Motor Magazine2021年7月号より)

スイッチひとつでオープンボディに変身

そんな最新タルガのルックスが、初代モデルへのオマージュに満ちあふれているのは一見して明らかだ。幅広の「タルガバー」はボディ色にかかわらずシルバーに輝いてその存在感をアピールし、ラップアラウンドデザインが特徴的なリアウインドウも、初代タルガならではの見どころを反復して演じることになる。

一方で、否が応にも時の流れを意識させられるのは、当初はプリミティブな手動によるデタッチャブルトップの脱着という方式だった「変身」の作業が、今や複雑な動きをスイッチひとつ、しかもわずか20秒足らずでやり遂げるフルオート式に進化したことだ。

ところで、タルガはシリーズ中では「もっともサーキットから遠い存在」と、紹介できそうなキャラクターの持ち主とは言え、そこはあくまでも911の一員。変身シーンではエンターテイメント性に富んだ優美な動きを披露する。同じコンポーネンツを用いるカレラ4よりも100kg強、ソフトトップ式オープンボディのカレラ4カブリオレと比べても60kgほど重いものの、いざ発進してみれば「911そのもの」の自在な走りを披露し、そうしたことなどは忘れさせてくれた。

画像: 水平基調のインテリア。ボタンひとつで開閉が可能だ。

水平基調のインテリア。ボタンひとつで開閉が可能だ。

標準の19/20インチに対して、取材車は20/21と1インチずつ大径の前/後タイヤをオプションで装着する。それにもかかわらず、バネ下の動きは信じられないほど軽快で、まずはその乗り味が上質そのものの惚れ惚れとする仕上がりだ。もちろん、ボディの高い剛性感も少しも失われていないし、4秒そこそこという0→100km/h加速タイムが証明するように、動力性能も十二分に強力だ。

確かに911シリーズ中では異端児であるかもしれない。しかし、決して「キワモノ」感を伴わないのがこのモデルでもあるのだ。

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