14年ぶりのフルモデルチェンジでランドクルーザーは「300系」に
トヨタ クラウンと並んで最も長い歴史を持つ自動車ブランドのひとつ、「ランドクルーザー」。1951年にその始祖となるトヨタ ジープBJが登場して以来さまざまな進化と派生を遂げて、現在では大きく分けて3つのラインを設けている。
ひとつはジープBJの直系ともいえるヘビーデューティ仕様の「ランドクルーザー70」だ。70系とも呼ばれ、1984年のデビュー以来マイナーチェンジを繰り返しながら現在も世界で販売が続けられている超ロングセラー。日本でも2014年に期間限定で復刻されたことは記憶に新しい。
もうひとつが1990年に70系から派生したライトデューティなブランドで、悪路走破性はもちろんのこと乗用車としての快適性を両立させた中型モデル「ランドクルーザープラド」だ。現行モデルは2009年にデビューした4代目「150系」で、レクサスGXとして北米市場などでも販売されている。
そして3つ目が本記事の主役であり、乗用車としての走行快適性/プレミアムを高められた「ランドクルーザー」。現行型は2007年登場の200系で、静粛性の高い4.7L V8エンジンとフルタイム4WDシステムを組み合わせ、悪路走破性を高める5つの走行モードをはじめとする電子制御も多く採用されている。
この旗艦モデルが14年ぶりにフルモデルチェンジするという予告映像が6月に入ってから公開されていたが、2021年6月10日についにその姿と概要が公開された。
V8エンジンを廃止、新プラットフォーム採用などにより軽量化
新型ランドクルーザー(300系)は伝統のラダーフレームを継承しつつ、軽量化と低重心化、さらに高剛性化などさまざまな性能進化を図られた新TNGAプラットフォーム「GA-F」を採用する。およそ200kgもの軽量化により燃費性能やより快適な走行性能を手にし、ラグジュアリー性を高められているという。
もちろん悪路走破性能の向上も図られる。サスペンションの基本性能向上に加え、E-KDSS(エレクトロニック・キネティック・ダイナミック・サスペンション・システム)を世界初搭載することでタイヤの接地性を高めている。このほかにも、ドライバー視点で障害物を可視化できる運転支援システム「マルチテレインモニター」も採用する。
パワートレーンは現段階で3種類の存在が明らかにされ、ガソリン仕様の3.5L V6ツインターボ(415ps/650Nm)、ディーゼル仕様の3.3L V6ツインターボ(309ps/700Nm)を搭載。いずれも10速ATを組み合わされて、従来の4.7L V8自然吸気エンジンを凌ぐ動力性能と、環境性能を持ち合わせる。仕向け地によってはV6自然吸気エンジン(詳細は不明)+6速ATの組み合わせも用意されるという。
ただし、日本市場にどのパワートレーンが導入されるのか、また追加ラインアップの存在などは明らかとなっていない。
エクステリアデザインは力強い直線と優雅さを演出する曲面を組み合わせた、従来からのコンセプトに変更はないように見える。しかし、クルマの存在感を高める押し出し感の強いフロントグリルに加えて、従来モデルよりさらに大きな凹凸を作りだす独特のボンネットフード形状が目を惹く。
さらに、砂漠を疾走する写真ではトヨタのスポーツブランド「GR」のロゴをフロントグリルに装着しているように見える。これがどのようなモデルであるのか詳細は分かっていないが、無塗装のフェンダーモールやフロントバンパーなどからオフロード走行性能に特化したモデルの登場も期待される。
発売時期については「2021年夏から世界の各市場で順次」としており、具体的な日本への導入日は発表していない。ボディサイズや車両重量をはじめとする主要スペック、車両価格などわかってない部分も多く、今後の展開を待つばかりである。