より進化したドライバーオリエンテッドなコックピット
ポルシェのレーシングカーによるワンメイクレース「ポルシェ カレラカップ ジャパン(PCCJ)」の2022年シリーズカップカー(競技車両)「911GT3カップ(タイプ992)」の購入申し込みが始まった。今回で7世代目となる。
2018年デビューのタイプ992の911カレラをベースに開発された911 GT3カップの最大の特徴は、カップカーとして初めて採用されたワイドなターボ仕様&軽量ボディだ。リアの全幅は先代を28mm上回る1902mmで、ホイール前方に冷却空気のインレットが追加されている。
さらにフレアフェンダーの追加でフロントアクスルの寸法が1920mmとなり、フロント12インチ、リアに13インチの調和のとれたホイールとタイヤの組み合わせが可能になったという。ハンドリングとドライバビリティーに好影響を与えることは言うまでもない。
大型リアウイングを備えたリアスポイラーとフロントエプロン(フロントリップスポイラー/セパレーションエッジ)の組み合わせによる、ダウンフォースの大幅な増加もセールスポイントだ。特に「スワンネック」と呼ばれる、空力効果に大きく貢献する方式でマウントされた、11段階の調整が可能なリアウイングによる効果は大きい。
コックピットも、人間工学を重視した先進のものとなっている。レーシングシートは、角度に加えて2段階の高さ調節が可能で、ステアリングコラムの調整機能との組み合わせで、最適なドライビングポジションが取れるよう配慮されている。そして、ドライバーからの要望でイルミネーテッドスイッチが再配置されたカーボンファイバー製モータースポーツ マルチファンクション ステアリングホイールは、911 GT3 Rからの採用となる。
右側に10個の大型スイッチを備えたラバースイッチパネル(RSP)は、レース中の過酷な条件下での使用を意識したもので、照明や換気、ドライからウェットへのタイヤの設定変更、ブレーキバランスの調整などが割り当てられている。一新された中央の10.3インチカラーモニターには、ドライバーにとって重要なエンジン回転数や、水温と油温、使用中のギア、エラーメッセージ、あるいは雨天時の路面状況などが表示される。
リアサスペンションはベース車両と基本的に同じだが、フロントはポルシェのトップレーシングモデルである911 RSRと同様に、ダブルウイッシュボーンとユニボールベアリングによっての制御が行われる。これにより、精確なターンインが実現されてフロントアクスルの感触が向上するという。ショックアブソーバーは、919ハイブリッドと911 RSRから最先端のバルブテクノロジーを受け継いでいる。
カップカーとして初めて完全電気機械式パワーステアリングが導入されたこともトピックだ。これにより、油圧ポンプと関連の油圧ラインが不要となった。
パワーソースは、自然吸気のドライサンプ潤滑方式を備えた高回転ユニットの水冷式4L水平対向6気筒エンジンを搭載。先代より7500rpm高い8400rpmで最高出力375kW(510ps)、6150rpmで最大トルク470Nmを発生する。トランスミッションは、6速ドグクラッチ式シーケンシャルが組み合わされる。
なお、911GT3カップの購入希望者は、6月23日(水)までにポルシェカレラカップジャパン事務局へ問い合わせの上、所定の車両購入申込書にての申し込みが必要となる。ただし、販売台数に限りがあることと、ポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)2022年シーズンへのフル参戦が義務付けられている。
911 GT3カップの車両価格は3465万円(6速シーケンシャルドグミッション/左ハンドル)となる。