2021年6月20日に行われたF1第7戦フランスGPで、アルファタウリ・ホンダの角田裕毅は他と作戦を変えて攻めた走りを見せたが、ポイント獲得ならず13位にとどまった。7位に入賞したチームメイトのピエール・ガスリーとともに、アルファタウリ・ホンダの戦いぶりを振り返ってみよう。

角田裕毅はピットレーンスタートから13位まで進出

予選でクラッシュを喫したアルファタウリ・ホンダの角田裕毅は、ギアボックスの交換に加えて、予選と異なる仕様のフロアの装着とサスペンションセッティングの変更を行い、ピットレーンからのスタートとなる。

スタートタイヤにミディアムコンパウンドを選択した角田は、ピットレーンスタートという不利な状況から素晴らしい出だしを見せ、すぐさまハース、ウイリアムズのドライバーをオーバーテイク。その後、ホンダのパワーユニット勢の中で最初となる15周目にピットストップを行い、ハードタイヤに交換した。

ほかのドライバーたちとは異なるタイヤ戦略を選択して少し早めに交換を行ったことから、一時11番手まで浮上することに成功した。ところが、いかにハードタイヤとはいえ周回を重ねた終盤にタイヤの消耗も大きく、入賞かなわず13位でフィニッシュするにとどまった。レースではいい走りを見せたものの、結果的には予選での失敗が大きかったと言わざるを得ない。それでも最後尾のピットレーンスタートから7つ順位を上げて完走を果たしたことになる。

画像: 最後尾スタートながら、すぐにオーバーテイクを開始。積極的な姿勢を見せた角田は7つ順位を上げて完走。

最後尾スタートながら、すぐにオーバーテイクを開始。積極的な姿勢を見せた角田は7つ順位を上げて完走。

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

「1周目はとてもいい形で、ピットレーンからスタートしてポジションを3つ上げられました。タイヤコンパウンドの異なるアルファロメオ勢に抑えられてしまったので、アンダーカットを試みようとハードタイヤに交換しました。ただ、このタイヤを履いてすぐにプッシュしなければならず、レースの終わりには完全にタイヤが終わってしまいました。今回も、F1でのレース経験を積み、走行距離を伸ばすことができたので、僕にとってはとてもいいことだと思います。もっと上位のグリッドからスタートし、ポイント獲得のチャンスを増やせるように、予選に取り組んでいかなければなりません」

画像: ポイント獲得のチャンスを増やためには、予選が今後の大きな課題となる。

ポイント獲得のチャンスを増やためには、予選が今後の大きな課題となる。

一方、チームメイトのピエール・ガスリーは好調で、なんなく予選Q3に進出すると6番グリッドを獲得。決勝スタートでも6番手をキープしたままオープニングラップを終えて順調に前を追っていたが、17周目のピットストップ・タイヤ交換のタイミングでダニエル・リカルド(マクラーレン)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)に前を行かれたのは少し誤算だった。

それでもガスリーは、ランド・ノリス(マクラーレン)との激しいバトルを経て、36周目にカルロス・サインツをパスするなど、2台のフェラーリをオーバーテイク。その後、マクラーレン勢へ迫り、7位入賞を果たして6ポイントを獲得した。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

「いいレースができたと思います。もちろん、ホームの観衆の前でグリッドから大きく順位を上げてフィニッシュしたかった気持ちはありますが、難しいレースでしたし、僕らにできることをすべてやりきったと思います。ピットストップでは、ダニエル(リカルド)とシャルル(ルクレール)にアンダーカットを許し、2つポジションを落としてしまい、それが尾を引きました。このあとデータを見直して、何か違うことができたのかを確認しなければなりません。素晴らしいバトルがありましたし、7位でのフィニッシュは僕らにとっていい結果です」

画像: 惜しい7位と言えるガスリー。戦略の違いによって7位となる僅差のレースだった。

惜しい7位と言えるガスリー。戦略の違いによって7位となる僅差のレースだった。

ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、アルファタウリ・ホンダについて「アルファタウリ・ホンダの角田選手は、最後尾からいくつものオーバーテイクを見せて13番手と、予選からの巻き返しを見せてくれました。ガスリー選手も粘り強い走りを続けて7位、6戦連続で入賞を果たし、安定した力を見せています。非常なタフなレース展開になりましたが、それぞれがきっちりとやるべきことを果たし、このような結果を得られたことはこの先シーズンを闘う上で大きな励みになります」とコメントしている。

この結果、アルファタウリ・ホンダはコンストラクターズランキング5位を守り、4位のフェラーリとの差を6ポイント詰めている。

画像: フランスGPのタイヤ戦略。ミディアム→ハードのワンストップが主流だったが、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は早めにタイヤ交換を行ったこともあり、レースの終盤にはタイヤの摩耗に苦しめられた。

フランスGPのタイヤ戦略。ミディアム→ハードのワンストップが主流だったが、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は早めにタイヤ交換を行ったこともあり、レースの終盤にはタイヤの摩耗に苦しめられた。

次戦となる2021年F1第8戦シュタイアーマルクGPは、6月25日、オーストリアのレッドブルリンクで開幕する。第8戦、第9戦はレッドブルリンクでの連戦となる。

2021年F1第7戦フランスGP決勝 結果

1位 33 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)53周
2位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+2.904s
3位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)+8.811s
4位 77 V.ボッタス(メルセデス)+14.618s
5位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+64.032s
6位 3 D.リカルド(マクラーレン・メルセデス)+75.857s
7位 10 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)+76.596s
8位 14 F.アロンソ(アルピーヌ・ルノー)+77.695s
9位 5 S.ヴェッテル(アストンマーティン・メルセデス)+79.666s
10位 18 L.ストロール(アストンマーティン*・メルセデス)+91.946s
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13位 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)+1周

2021年F1ドライバーズランキング(第7戦終了時)

1位 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ) 131
2位 L.ハミルトン(メルセデス) 119
3位 S.ペレス(レッドブル・ホンダ)84
4位 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス) 76
5位 V.ボッタス(メルセデス) 59
6位 C.ルクレール(フェラーリ) 52
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8位 P.ガスリー (アルファタウリ・ホンダ)37
14位 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ) 8

2021年コンストラクターズランキング(第7戦終了時)

1位 レッドブル・ホンダ 215
2位 メルセデス 178
3位 マクラーレン・メルセデス 110
4位 フェラーリ 94
5位 アルファタウリ・ホンダ 45
6位 アストンマーティン・メルセデス 40

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