「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。今回は、プジョー 5008から過去の3列シート乗用車を振りかえってみよう。(タイトル写真は、上が現行型の5008、下が203ファミリアール)

「ファミリアール」と呼ばれた3列シートのワゴン

画像: 戦後最初のモデル、203に設定された3列シート仕様の、203ファミリアール。ルーフはセダンよりも高くなっている。

戦後最初のモデル、203に設定された3列シート仕様の、203ファミリアール。ルーフはセダンよりも高くなっている。

温故知新。プジョーはかつて、大型のワゴンモデルに3列シート仕様を設定していたことがある。とくに戦後登場した203以降の中・大型ボディのワゴンには、必ず設定されていた。今でいえば508SWに相当するカテゴリーだが、最新の508は、ベースとなるセダンボディも車高が低めで、3列シートに向いていないかもしれない。

フランスではそういったブレーク(ワゴン)の3列シート仕様を、ファミリアル(ファミリアールと表記するのがお約束)と称しており、長距離の旅行に家族で出かけられるようなクルマとして受け入れられていた。日本でもフランス車好きなどにはおなじみの呼称だったが、車名(グレード名)としてつくものは、今ではなくなっているようである。ただし今でも5008などは、「SUVファミリアール」などというくくりで呼ばれたりもしている。

フランスは半ばラテン系ともいえる国で大家族的な文化もあったように思うが、現代のフランスは結婚(入籍)しない男女の先進国というようなイメージが強かったりする。とはいえ近年は、日本などより出生率が上昇しているのもよく知られた話だ。

かつての404や504のワゴンのファミリアールは、セダンをベースに延長した長大なボディを持ち、優美で堂々たる趣があった。それに比べると、SUVを名乗る5008はまったくもってモダンで現代的だが、やはり優美で品格があるように感じられる。それがプジョーらしさということでもあるのだろう。全長が少しコンパクトになっているのは、設計技術の進歩で、スペース効率が高まった結果である。

時代はたしかに変わったものの、フランスの「ファミリアール」をつくる文化は、今のプジョーにも受け継がれているようである。(文:武田 隆)

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