「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。今回は、プジョー 5008から過去の3列シート乗用車を振りかえってみよう。(タイトル写真は、上が現行型の5008、下が203ファミリアール)

ヨーロッパでミニバンは流行らなかった

現代において3列シートの乗用車といえばミニバンや大型SUVを思い浮かべるが、かつてはステーションワゴンが担っていた。ちなみに大型SUVというのは、ある意味では背の低いタイプのミニバンの変形バージョン(クロスオーバー)のような面もある。

現に先代の5008も3列シート仕様だったためミニバンとして販売されてきたが、現行型で「SUV」であることを押し出すようにキャラクターを変更してきた。イメージ転換を図られた理由のひとつとして、それまで三菱自動車からOEM提供されてきたSUVがなくなったこともあるが、やはりSUV全盛の時代ということがあるのだろう。ミニバンは逆に、今や勢力を減らしている。

ヨーロッパでは、ミニバンが大ブームにはならなかった。たとえばフランスでは、1980年代に出たルノーのミニバン「エスパス」がヒット作となったが、プジョーやシトロエンはその流行を追わず、開発費を節約できるフィアット グループとの共同開発モデルを出すだけにとどまった。プジョーのミニバンは1990年代から806、807を2代続けて販売していたが、今ではそれも廃番になってしまっている。

画像: 1990年代につくられていたミニバンの806。シトロエン、フィアット、ランチアと車体を共用していた。

1990年代につくられていたミニバンの806。シトロエン、フィアット、ランチアと車体を共用していた。

SUVは、ミニバンよりも悪路走破性に長けているのはもちろんのこと、走りに対してアクティブなキャラクターを与えられている。ヨーロッパではこうした走りを重視されることが多く、少なくとも日本車のような車高の高い冷蔵庫のようなボディのミニバンは、商用車ベースならまだしも乗用車ではありえない、という感じがある。今ではルノーのエスパスでさえ、走り重視のキャラクターに変節している。

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