「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。今回は、プジョー 5008から過去の3列シート乗用車を振りかえってみよう。(タイトル写真は、上が現行型の5008、下が203ファミリアール)
ワインディングロードも楽しめる5008
SUVの5008は、弟分にあたる3008とともに、今やプジョーの屋台骨を支える存在になっている。この2モデルの大きな違いはホイールベースだ。5008は3008よりホイールベースを長くし、3列目シートを備えている。5008の3列目シートはエマージェンシー用程度のものともいえるが、ふだんは収納しておけば、広い荷室を持つ立派なワゴンとして通用する。
さらに3008と5008はボディ後半部のデザインが異なる。5008はストレートに伸びるウインドウグラフィックが、あたかもモダン建築のデザインのようなスマートさを感じさせる。
走行面を比較してみると、5008のホイールベースは165mm長く、車両重量も約80kg重いことから、軽快感において3008が有利だ。5008はむしろ、多くの荷物を積載しての長距離ツーリングで真価を発揮するようなクルマだろう。
ただ、もちろんエンジンやタイヤの仕様によって、印象が変わることもある。以前に5008の1.6Lターボ搭載モデルを400km弱ほど試乗したとき、とくに印象強く感じたのはコーナリングの軽快感と乗り味の良さだ。このクルマには不得意なシーンかなと思いながらも、むしろそれを味わいたくてわざわざ山道を選んで走ってみた。
5008は全高1650mmという大柄なボディであるためロールは比較的深く、その動きもゆったりしている。だから猫足のしなやかさでロールをしながら絶妙の弱アンダーステアで走るという、プジョーらしさの醍醐味をよく味わえるように思う。プジョーの足まわりの仕立ては、ロールスピードもよく調律されていて、クルマの動きが非常にナチュラルに感じられる。