「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。今回は、最新の電気自動車であるe-208から、過去のプジョー製電気自動車を振りかえってみたい。(タイトル画像は、上が1994年に発表されたEVコンセプトカー「iON」、下がe-208)

電気自動車に積極的に取り組んできたプジョー

画像: 106をEV化した「106エレクトリック」。既存の汎用品を活用してできるだけ価格を抑えていた。

106をEV化した「106エレクトリック」。既存の汎用品を活用してできるだけ価格を抑えていた。

戦後の1960年代になると、プジョーは燃料電池車の開発を試みている。当時、アポロ宇宙船の電源として採用された燃料電池に注目が集まり、また米国GMも燃料電池車を開発したことは比較的知られている。これと同時期に、フランスのプジョーも開発に着手していたのだ。

1970年代になると、石油危機の影響もあったと思われるが、プジョーはBEVの開発に力を入れ、フランスの高速鉄道「TGV」の開発で有名な鉄道車両メーカーのアルストムの技術協力を得て、104や商用車の電気自動車を開発した。

大々的な電気自動車の市販化は、1995年に発表された106エレクトリックからである。10年あまりの間に3542台という程度ではあったが、当時のPSAは電気自動車のリーディングカンパニーだった。傘下のシトロエン ブランドも合わせて商用車を含めた台数であるが、1990年代末にPSAはヨーロッパの電気自動車の85%を占めていたという記録もある。

プジョーが電気自動車の開発を積極的に取り組んできたのは、フランスの国策も背景にある。よく知られるとおりフランスは原子力発電の割合が高く、夜間の余剰電力を活用して充電できるBEVは、CO2削減の効果を確実に期待できるわけだ。もちろん、フランスも今では再生可能エネルギーによる発電も増えている。

ただ、そんなエコ云々は別の地平の話として、e-208はクルマとしてすごく良かった。個人的には単純な電動化が地球を救うなどとはまったく思わないのだが、「e-Peugeot」は「Peugeot」のより進化した形であることは、間違いないだろう。(文:武田 隆)

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