2019年に30台限定で発表されたS60 T8 ポールスターエンジニアードは、発売初日に完売している。その人気モデルが2020年、S60(15台)に加え、V60(20台)、XC60(30台)に車種展開を広げて日本へ導入された。今回もまたすでに完売しているのだが、ここではXC60とV60版に試乗する幸運に恵まれた。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2021年1月号より)

フロントとリアにそれぞれ電気モーターを搭載

今回試したのは、その2021年モデルと表現するのがもっともわかりやすい。なぜならポールスターが手を加えた部分は、2019年のS60をほぼ踏襲しているからだ。もっとも大きな相違点は、2019年はセダンのS60だけだったのに対し、今回はワゴンのV60とSUVのXC60もラインナップに加わったこと。そこで今回はその2台のT8 ポールスターエンジニアードを連ねて試乗に出てみた。

ICE(内燃機関)のみから電動化パワーユニットへの置き換え作業が完了したボルボだが、その流れの中でモデルラインナップにも若干の変化が起きている。たとえばV60では、以前設定されていたT8がドロップし、リチャージプラグインハイブリッドはT6のみとなった。またS60も最上位グレードは同じ呼び方のリチャージプラグインハイブリッド T6だ。いずれにせよ、S60とV60には現在、T8と呼ばれるパワーユニットは設定がないのである。

画像: 本革/シルクメタルスポーツステアリングホイール、メタルメッシュアルミニウムパネルなど、インテリアもスポーティ。

本革/シルクメタルスポーツステアリングホイール、メタルメッシュアルミニウムパネルなど、インテリアもスポーティ。

一方XC60は、重量のあるSUVということを考慮し、リチャージプラグインハイブリッドは当初からT8のみの展開である。T6とT8は、ともにターボとスーパーチャージャーを備えた2L直4エンジンを搭載するが、T6は253ps/350Nm、T8は318ps/400Nmと出力に差を持たせている。ポールスターエンジニアードのベースとは後者のT8だが、エンジンマネジメントはどちらとも異なる特別プログラムで、333ps/430Nmまでパワーアップされた。

プラグインハイブリッドシステムは、34kW(46ps)/160Nmのフロントモーターがエンジンと協調して前輪を駆動し、65kW(87ps)/240Nmのリアモーターが後輪を駆動する。いわゆる電気式AWDだが、モーターやバッテリーのスペックは全車共通。それでもエンジンの出力向上によりポールスターエンジニアードのシステム総合出力はT8から15ps増しの420psに達した。数値にしてしまうと差はわずかだが、いずれにせよ各モデルの最強力版がT8 ポールスターエンジニアードというわけである。

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