フロントとリアにそれぞれ電気モーターを搭載
今回試したのは、その2021年モデルと表現するのがもっともわかりやすい。なぜならポールスターが手を加えた部分は、2019年のS60をほぼ踏襲しているからだ。もっとも大きな相違点は、2019年はセダンのS60だけだったのに対し、今回はワゴンのV60とSUVのXC60もラインナップに加わったこと。そこで今回はその2台のT8 ポールスターエンジニアードを連ねて試乗に出てみた。
ICE(内燃機関)のみから電動化パワーユニットへの置き換え作業が完了したボルボだが、その流れの中でモデルラインナップにも若干の変化が起きている。たとえばV60では、以前設定されていたT8がドロップし、リチャージプラグインハイブリッドはT6のみとなった。またS60も最上位グレードは同じ呼び方のリチャージプラグインハイブリッド T6だ。いずれにせよ、S60とV60には現在、T8と呼ばれるパワーユニットは設定がないのである。
一方XC60は、重量のあるSUVということを考慮し、リチャージプラグインハイブリッドは当初からT8のみの展開である。T6とT8は、ともにターボとスーパーチャージャーを備えた2L直4エンジンを搭載するが、T6は253ps/350Nm、T8は318ps/400Nmと出力に差を持たせている。ポールスターエンジニアードのベースとは後者のT8だが、エンジンマネジメントはどちらとも異なる特別プログラムで、333ps/430Nmまでパワーアップされた。
プラグインハイブリッドシステムは、34kW(46ps)/160Nmのフロントモーターがエンジンと協調して前輪を駆動し、65kW(87ps)/240Nmのリアモーターが後輪を駆動する。いわゆる電気式AWDだが、モーターやバッテリーのスペックは全車共通。それでもエンジンの出力向上によりポールスターエンジニアードのシステム総合出力はT8から15ps増しの420psに達した。数値にしてしまうと差はわずかだが、いずれにせよ各モデルの最強力版がT8 ポールスターエンジニアードというわけである。