4L V8 DOHCツインターボ+2基のモーターによるPHEVシステム
「ヴァルキリー」、「ヴァルキリーAMRプロ」に続く第3弾のアストンマーティンによるハイパーカー「ヴァルハラ」のコンセプトモデルが公開されたのが、2019年のジュネーブモーターショーのことだった。前の2台同様にレッドブル アドバンスド テクノロジーとのコラボにより、F1のテクノロジーがいかんなく注ぎこまれたモデルだが、それがついに市販モデルとして登場する日を迎えようとしている。
アストンマーティン初となる量産型ミッドシップハイパーカーとなるヴァルハラの心臓部は、2つのモーターを備えたPHEV(プラグインハイブリッド)システムとなる。その中核を担う、リアにミッドマウントされた4L V8 DOHCツインターボは、7200rpmで最高出力750psを発生する。
軽量化されたエキゾーストシステムは、調整可能なアクティブフラップを備え、心地よいサウンドを奏でるというが、そのレイアウトがとてもユニーク。エキゾーストパイプがルーフエンド、リアスポイラーより前にレイアウトされているのだ。視覚的および聴覚的な印象を最大限に高めるためだそうだ。
V8エンジンをアシストするのが、2つのモーター(150kW/400V)だ。フロントアクスルとリアアクスルにそれぞれ1基ずつ搭載される。システム最高出力950psで、さらに204psのパワーを上乗せすることが可能だというが、詳しいシステムについては触れられていない。
バッテリーの電力は、EV専用モードで走行する場合はフロントアクスルにのみ供給される。それ以外の走行モードでは、フロントアクスルとリアアクスルに分割され、各アクスルに送られる割合は走行条件によって常に変化する。また、状況によってはバッテリー電力の100%をリアアクスルに送ることもできるという。
EV専用モードで走行する場合の最高速度は130km/hで、航続距離は15km。950psのパワーを解き放った場合は、0→100km/h加速が2.5秒で最高速度が330km/hに達するそうだ。ちなみに、世界一の難コースと言われるニュルブルクリンク ノルドシュライフェ(北コース)のラップタイム目標は、6分30秒に設定されている。
トランスミッションは特別に設計された8速DCTで、軽量化に寄与するe-リバース(電気モーターを利用することで、従来のリバースギアを必要としない)を備えている。パドルシフトギアボックスも、ハイブリッドモデルに対応するために特別に開発された。また、リアアクスルにエレクトロニックリミテッドスリップ デファレンシャル(e-デフ)を備え、最大のトラクションと俊敏なハンドリングの実現が図られている。