2021年7月6日、ボルボ・カーズから「2021年上半期のボルボ・カーズの世界販売台数が、過去最高となる前年同期比41%アップの38万0757台を達成した」というニュースが流れた。日本での販売も好調で、上半期の販売台数は8428台となり、前年同期比13%の増加となったという。ただし、このボルボ人気は今に始まったことではなく、ここ数年じわりと高まり続けているというのが実状だ。では、その魅力はどこにあるのか、それはXC60に乗ってみるとわかる。

品質だけでは実現できないインテリアの心地よさ

ボルボ車の人気の理由のひとつはインテリアの心地よさにあるのではないかと、密かに思っている。天然由来の素材を使った質が高いインテリアトリムやオレフォス社製クリスタルシフトノブとあいまって、なんとも心地いい空間が作り上げられている。

精巧な作り込みを感じさせるが、そこにあるのは機械的なクールさではなく、人間味あふれる暖かさ。この心地いいインテリアはいかにして生まれたのかと考えてみたが、「寒くて暗い冬が長く続くスウェーデンでは、明るく優しい雰囲気のインテリアが好まれる」と説明されると、このクラスでは黒いインテリアが多いことを思い出して、「なるほど」と感心する。たしかにボルボ車のインテリアは、今回試乗した XC60 B5 AWD インスクリプションがそうであるように、オフホワイト系や明るいブラウンのものが多く設定されている。

さらに、スイッチ類は寒い時期に手袋をしたままで運転する時にも操作できるようにゆったりと配置。シートはコートを着たままでも乗り込めるように大振りでありながら、しっかり身体をホールドするように、すっぽり包み込むような作りになっている。柔らかいが柔らか過ぎることはなく、これがなかなか快適。すべて人間優先、実際のニーズを考えて作られていることがわかる。

足まわりもかっちりとしているが、硬過ぎない設定。これはとくに冬場の凍った荒れた路面での乗り心地に対応してのものだという。この足まわりは平滑な路面ばかりではない日本の道路環境にもよく合っている。

画像: 試乗車はチルトアップ機構付電動パノラマガラスサンルーフをオプション装備。インテリアに開放感と明るさをもたらしていた。

試乗車はチルトアップ機構付電動パノラマガラスサンルーフをオプション装備。インテリアに開放感と明るさをもたらしていた。

素朴で控えめな性格だが、それも大きな魅力になっていく

XC60 B5 AWD インスクリプションに搭載される48Vマイルドハイブリッドの2L 直4ターボエンジンの特性も、こうした車両のセッティングによくマッチしている。

48Vマイルドハイブリッドによるアイドリングストップからの再始動は滑らかそのもので、最高出力10kWのモーターの発進アシストはその存在を感じさせないほどにスムーズ。気筒休止システムも作動を確認するのが難しいほど静かで振動がない。

そのパフォーマンスはどんなものかと期待して試乗すると、肩透かしにあうことになるが、その走りは優しくて気持ちがいい。ハイブリッドの存在を主張する設定を好むメーカーもあるが、ボルボは唐突な動きは安全性や快適性を損なうという考えだ。これもインテリアの心地よさに繋がっていると思う。

こうしたボルボ車のセッティング志向は伝統的なものだが、一時はドイツ車などに押されて、ボルボは市場で地味な存在になりかけていた。そのクルマ作りが大きく変わったのはグローバル市場を視野に入れて、新世代アーキテクチャーのSPA(スケーラブル プロダクト アーキテクチャー)を採用してクルマの基礎を再構築し始めた頃から。デザインにも新しいアイコンが採り入れられ、どんどんクルマがよくなっていった。

こうなると、ボルボのイメージはどんどん高まっていく。ボルボ車の特徴として、安全に対するあくなき追求、環境への徹底した配慮、壊れにくく頑丈なことなどがあげられるが、スウェーデンの厳しい気候や道路環境、意識の高いユーザーの要求によって形作られてきた独自の個性によって、ボルボの魅力が再発見され、それはさらに大きなものになり続けている。

デザインとか素材だけの問題ではなく、こうしたクルマ作りから生み出される安心感あるいは誠実性から生まれたインテリアの心地よさ。これに魅了されてボルボ車を購入する人は少なくないはずだ。(文:Webモーターマガジン編集部 松本雅弘/写真:永元秀和)

画像: ボルボXC60 B5 AWD インスクリプション。ボディカラーはブライトシルバーメタリック。

ボルボXC60 B5 AWD インスクリプション。ボディカラーはブライトシルバーメタリック。

ボルボ XC60 B5 AWD インスクリプション 主要諸元

●全長×全幅×全高:4690×1900×1660mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1890kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+モーター
●排気量:1968cc
●最高出力:184kW(250ps)/5400-5700rpm
●最大トルク:350Nm/1800-4800rpm
●モーター最高出力:10kW/3000rpm
●モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミム・71L
●WLTCモード燃費:11.5km/L
●タイヤサイズ:235/55R19
●車両価格:739万円

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