「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。今回は、プジョー 208に乗りながら、日本でも人気のあった205などの200シリーズを振りかえってみたい。(タイトル写真は、上が205GTI、下が208GTライン)

208は5ドアながら205GTIを彷彿とさせる

日本のような道で運転を楽しむとしたら、プジョー 208やフォルクスワーゲン ポロ、ルノー ルーテシアなどのようなBセグメントに区分けされるコンパクトクラスのクルマに限ると個人的には思っている。田舎道などを走っていると、このクラスの中でも208はとくに楽しく気持ち良い。とくに気に入っている点はリラックスしたペースで快調に走ること、そしてがんばって走っても、路面の少し荒れたところを走っても、乱れることがないことだ。

従来モデルと違って、「新型208にはスポーツモデルのGTIを設定されていない」と残念がる人もいる。しかし、サーキットを走るのでもなければ、現在も日本で買えるGTで走り好きのドライバーの欲求をそれなりに満してくれるのではないかと思う。

画像: 日本仕様の208GT。ボリュームのあるCピラー部分のデザインは、205GTIを彷彿とさせる。

日本仕様の208GT。ボリュームのあるCピラー部分のデザインは、205GTIを彷彿とさせる。

ベーシックなアリュールよりGTのほうがタイヤが大径であることも影響して、乗り心地は心持ち硬めだが、走りがシュアなので好印象。アリュールにおいては多少あいまいな感覚もあるとはいえ、ロードホールディングの良さは基本的にGTと変わらず、そのぶん低速域での柔らかさに秀でている。最新のCMPプラットフォームゆえに大径タイヤも履きこなしているといえそうだが、上級モデルと比較すれば、やや細かい振動を感じないわけではなく、そこはやはりコンパクトカーらしさを感じる。

搭載されるエンジンはかねてより定評のある1.2Lターボで、100ps/205NmというパワーとアイシンAW製の8速ATを組み合わせることにより小気味よく加速してくれる。ただ気になった点がひとつ。近年登場した多くのクルマがそうであるように、208もATまかせで加速していくとどんどんシフトアップして低回転を維持したがる傾向にある。

燃料消費量を意識してのプログラムと思われるが、これがあまり面白くはない。プジョー、ひいてはフランス車は昔から小排気量エンジンをめいっぱいに回して走るのが流儀といわれていた。時代の変化と言われればそれまでだが、新型でもこの感覚を味わいたい。そこでMTモードに切り替えて積極的に回して走るようにすると、がぜん本来の持ち味が出てくる感じである。

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