「温故知新」の逆というわけではないが、最新のプジョー車に乗りながら、古(いにしえ)のプジョー車に思いを馳せてみたい。今回は、プジョー 208に乗りながら、日本でも人気のあった205などの200シリーズを振りかえってみたい。(タイトル写真は、上が205GTI、下が208GTライン)
205のルーツは、204ではなく104だった
208のスタイリングは前後フェンダーまわりのボリューム感が目立ち、エラが張ったというか、従来モデルより立派になった印象がある。また、Cピラーの造形がちょっと独特で、かつての205の3ドアを彷彿とさせる。フェンダーの張り出しはともかくとして、208の全体のプロポーションとCピラーの造形は、おそらく205 3ドア(とくにGTI)をイメージしたものではないだろうか。
206以降のハッチバックモデルは、300シリーズも含めて、とくに3ドアでは205GTIのCピラーをどこか継承していたように思う。ところが新型208に3ドアの設定はないので、5ドアで205GTIの印象を盛り込んできたのだろう。
200シリーズは戦前の201から始まっているが、新型208も含めて、近年の200シリーズの事実上の元祖は、大成功作となった1983年登場の205にあるとみてよい。車名の数字や初めてFFを採用した歴史を見るに204も205の源流といえる。しかし、205は104の後継として開発された側面があり、メカニズム的にはほぼ104を更新したものだった。
104は、当時の新しいボディ形式である2BOX スタイルを採用したコンパクトカーだった。ただ、スタイリングがいささか地味でまじめすぎた。同世代のライバルであるルノー5がいかにも都会的で若々しさに溢れるスタイルだったのに対して、104から軽快感を感じられず、劣勢に立たされてしまった。