安全装備が充実されたスイフトスポーツ
最新のモデルを試乗する機会があると、EVやHEVなど何らかの電動化モデルであることが圧倒的に多い。そういう時代だし、またそういうクルマも乗って楽しいのだが、やはり内燃エンジンだけで、しかもマニュアルシフトを駆使して走る楽しみには、まだまだ代えがたいものもある。
というわけで、今回試乗したのはスズキ スイフトスポーツとルノー メガーヌ ルノースポール トロフィー(以下、メガーヌ R.S.)の2台。どちらも車名に「スポーツ(スポールはフランス語でスポーツの意)」と付くだけあって、走りを楽しむために生まれてきたクルマたちだ。
まずは「スイスポ」の愛称でおなじみのスイフトスポーツ。4代目となる現行型はデビューから4年近くなるからニューモデルではないが、2020年5月に一部改良され、安全装備が充実された。アダプティブクルーズコントロールやブラインドスポットモニター、車線逸脱抑制機能などが高速クルーズを快適にしてくれるし、後退時の衝突被害軽減ブレーキなどはイザというときに頼りになる。
もちろん、走りの楽しさは相変わらずだ。1トンを切る軽量ボディに140ps/230Nmを発生する1.4Lターボの組み合わせは軽快かつパワフル。ターボエンジンとはいえ低回転からレスポンスは良く、瞬時の加速も素早い。軽快なハンドリングにも変わりはない。街中でも、ハイウエイでも、そしてワインディングロードでも、「スポーツ」らしい走りっぷりを見せてくれる。
ひとつだけ気になる点は6速MTの操作感だ。シフトストロークが長めで、タッチも少しグニャッとした感じであること。この点が改善されれば、言うことなしと思えてしまうのだが・・・。
とはいえ、ベース車のスイフトが良くできたBセグメントコンパクトカーだから、街中を走り回るふだん使いの足としても適した特性を持つのもスイスポの利点。狭い住宅街でも走りやすいコンパクトさ、視界も良くインターフェースも扱いやすい。5ドアでおとな4人がキチンと乗れるし、ラゲッジスペースは週末の買い物や小旅行にも十分な広さがある。
さまざまな事情で2ドアやオープンカーなどのスポーツカーを所有することはできないけれど、クルマで走る楽しさを忘れられないスポーツ心のあるひと、人も荷物もそんなにたくさん載せないのなら安全装備も充実したスイスポはオススメだ。自分だけで使うならMTでもいいけれどパートナーが難色を示す・・・というのなら、ATも設定されている。以前に試乗したことのある6速ATも悪くないのだから。