2021年2月にマイナーチェンジを受けたQ5シリーズ。今回は最上級グレードのSQ5に試乗し、快適性をどうバランスしているのかという点にも注目してみた。(Motor Magazine2021年9月号より)

洗練された走りの味こそ、アウディSシリーズの魅力

そして私がもっとも気に入っているのが、ロードホールディングが優れている点。これはほかのアウディにも共通していることだけれど、うねった路面にもタイヤがしなやかに追従し続けるので、安定したグリップ感を生み出してくれるのだ。

このため、路面のうねりに合わせてハンドルが左右に振られることもなければ、コーナリング限界が近づいてもハンドリング特性が神経質に変化することもない。一度ハンドルを切り込めば、一定舵角を保ったまますーっとコーナーをクリアしていく。この安心感を一度味わってしまうと、暴れるハンドルを強引に抑え込みながら走るコーナリングに嫌気が差してくるのではないかと心配になるほどだ。

こうした洗練された走りの味こそ、アウディの、そしてSモデルの最大の魅力だと思う。そうした世界観は、古典的なスポーティモデルに慣れ親しんできたベテランドライバーには少々物足りなく感じられるかもしれない。

この辺がアウディを好きになるかどうかの分かれ目で、同じことはアウディ特有の控えめなデザインについてもいえる。すなわち、SQ5の外観を見て「派手さがなくて物足りない」と感じるか、それとも「知的でクール」と捉えるかで、賛否が分かれると思われるのだ。

画像: 最新のインフォテインメントシステムMIB3を採用。10.1インチにサイズアップしたセンタースクリーンは、タッチパネル式となり操作性の向上を図っている。

最新のインフォテインメントシステムMIB3を採用。10.1インチにサイズアップしたセンタースクリーンは、タッチパネル式となり操作性の向上を図っている。

354psを生み出すエンジンの反応も実に洗練されていて、抑制の利いたエキゾーストノートをときおり響かせながらスムーズに車速を伸ばしていくアクセルペダルを深々と踏み込んだ時の加速も、ボディがふっと軽くなったように感じるだけで、暴力的なところはまるでない。SQ5というクルマのキャラクターによくマッチしたパワープラントだ。

ちなみにヨーロッパ向けのSQ5はディーゼルモデルのみで、ガソリン仕様は日本や北米などごく少数の市場のためだけに作られているという。そんなこだわりからも、アウディらしさが強く感じられる。(文:大谷達也/写真:原田 淳)

アウディSQ5主要諸元

●全長×全幅×全高:4685×1900×1635mm
●ホイールベース:2825mm
●車両重量:1920kg
●エンジン:V6DOHCターボ
●総排気量:2994cc
●最高出力:260kW(354ps)/5400-6400rpm
●最大トルク:500Nm/1370-4500rpm
●トランスミッション:8速AT(ティプトロニック)
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●WLTCモード燃費:10.1km/L
●タイヤサイズ:255/45R20
●車両価格(税込):915万円

クーペスタイルSUV、Q5スポーツバック/SQ5スポーツバックが誕生

画像: Sラインではスポーツバック専用のアルミニウムルックインサート付ハニカムメッシュグリルを採用する。

Sラインではスポーツバック専用のアルミニウムルックインサート付ハニカムメッシュグリルを採用する。

スタイリッシュなクーペデザインと高い実用性を兼備

ミッドサイズSUVとして世界的に人気の高いアウディQ5/SQ5に、新たに「スポーツバック」が追加設定された。スポーツバックはクーペスタイルのスポーティなキャラクターと高い実用性を兼ね備えたモデルで、アウディのSUVではQ3やeトロンに続く3番目のスポーツバックとなる。

エクステリアではQ5のデザインコンセプトを踏襲しながら専用デザインとすることで、スポーツバックならではのスタイリングを際立たせている。

このスポーツバックで投入された新しいテクノロジーとしては、後続車へのアラート機能を持つマトリクスOLEDリアライトが挙げられる。これは停車中に後続車が2m以内に近づくと超音波センサーが探知し、リアOLEDライトがすべてのセグメントを点灯させて、後続車のドライバーに注意を促すというものだ。

クーペスタイルということで、後席の居住空間が狭くなったりラゲッジルーム容量が減少することが懸念されるが、どちらもあまり犠牲にしていないこともこのスポーツバックの嬉しいところ。

エンジンはQ5スポーツバックに2L直4ディーゼルターボ(204ps)、SQ5スポーツバックに3L V6ガソリンターボ(354ps)の2タイプ。発売は2021年8月17日からとなっている。

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