2021年もポルシェ車の販売は絶好調。その中核を担うのはやはり、カイエンとマカンのSUVブラザースだ。今後はそれぞれに、新たな刺激的ポテンシャルを追求したモデルが追加されていくことになる。(Motor Magazine2021年9月号より)

ニュルブルクリンク北コースで世界記録を達成

これまでカイエンのICE(内燃機関)搭載のトップモデル「ターボ」の最高出力は550ps、最大トルクは770Nmだった。だが昨今のビッグSUVにおけるパワーウォーズは留まるところを知らず、最高出力が600psを超えるモデルも増えている。

スポーツSUVの老舗であるポルシェとしても黙っていられなくなり、今回新たなトップモデルとして、「ターボGT」が追加された。クーペシリーズ専用に用意された4L V8ツインターボエンジンの最高出力はターボ、インタークーラー、インジェクションなど吸排気系の改良によって最高出力640ps、最大トルク850Nmを発生。8速ATと組み合わされ0→100km/h加速を3.3秒、200km/hまでは12.2秒でこなす。最高速度は300km/hだ。

この向上したカタログデータを証明するために、ポルシェはニュルブルクリンクの20.832kmの北コースでトライアルを行い、ラップタイム7分38秒9というSUVの世界記録を達成している。

画像: カイエン ターボ GT。リアの展開式アダプティブスポイラーリップは、「ターボ」よりも大型。最高速度でのダウンフォースは最大で40kg増加するという。

カイエン ターボ GT。リアの展開式アダプティブスポイラーリップは、「ターボ」よりも大型。最高速度でのダウンフォースは最大で40kg増加するという。

スウェーデンのゴットランドで開催された試乗会に現れた22インチホイールを履いたカイエンターボGT クーペは、わずかに17mmほどローダウンしたスポーツシャシにもかかわらず全体の印象は低く精悍なものだった。インテリアはターボGTロゴが縫い込まれたヘッドレストを持った素晴らしいサポート形状のスポーツシートが待っていた。

元WRCウイナーも驚いた圧巻の進化

カイエン ターボGTのパワーは、わずか90ps/80Nmほどの増強とは思えないほど力強く、スムーズな8速ATを介してアッと言う間にスウェーデンの法定速度110km/hに達してしまう。リジディティが15%アップされたチャンバーのエアサスペンション、4WS、PASM(ポルシェアクティブサスペンションマネジメント)、PDCC(ポルシェダイナミックシャシーコントロール)などのすべてが高度に最適化されたおかげで、公道でもサーキットでも乗り心地とスポーティハンドリングのバランスの良さに驚かされた。

ポルシェのブランドアンバサダーを務めている元WRC覇者ヴァルター・ロールが、最初にこのターボGTに試乗した後、そのハンドリングに驚いた彼が、開発エンジニアに「君たちはこのクルマに、一体何をしたんだ?」と問いかける動画を見たが、試乗を通じて彼の気持ちが良く理解できた。

このターボGTはすでにドイツで予約注文が行われているが、日本でも2021年6月末からポルシェジャパンが2725万円の車両価格を公表して、受注が始まっている。

画像: カイエン ターボ GTは、アルカンターラをより贅沢に配した、高品質感あふれるインテリアを採用。次世代ポルシェコミュニケーションマネジメントシステムなどインフォテインメントも最新。

カイエン ターボ GTは、アルカンターラをより贅沢に配した、高品質感あふれるインテリアを採用。次世代ポルシェコミュニケーションマネジメントシステムなどインフォテインメントも最新。

ポルシェ カイエン ターボGT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4942×1995×1636mm
●ホイールベース:2895mm
●車両重量:2220kg
●エンジン:V8 DOHCツインターボ
●総排気量:3996cc
●最高出力:471kW(640ps)/6000rpm
●最大トルク:850Nm/2300-4500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・90L
●燃費(EU準拠):14.1km/L
●タイヤサイズ:前285/35R22、後315/30R22
●車両価格(税込):2725万円

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