キビキビとして小気味いいX6
電動化は、もはや全世界的なトレンドとして定着しつつある。一方で、内燃機関を「延命」するための技術的革新や創意工夫もまた、その勢いが衰えることはないようだ。今回、乗り比べた2台のSUVは、BMW製クリーンディーゼルユニット搭載車としてのイメージリーダー的存在だ。
一方で、スペック以上にその味付けが異なっていることが、とても興味深かった。3列シートを備えたプレミアム7シーター「X7」と、流麗なシルエットが自慢のクーペ「X6」では、外観の印象が異なっていることはもちろんだが、走行フィーリングはそれぞれさらに際立つ個性を持っている。
X6、X7ともに搭載されるのは、3L 直6 DOHCディーゼルツインターボである。型式はB57D30B型と共通だが、スペックはかなり異なる。「35d」のグレード名が付くX6は最高出力が286ps、最大トルクは650Nmを発生。これだけを見れば十分にパワフルな仕様だが、X7「40d」のユニットはさらに強力で、340ps/700Nmに達する。
どちらも48Vのマイルドハイブリッドテクノロジーを採用。スタータージェネレーターは、加速時に電動駆動システムとしても機能する。アシスト時の力はささやかなものではあるが、もともとトルクフルなディーゼルユニットとの相性は非常にいい。
とくに、X6 35dはそのキビキビと小気味いい加速感が、とても好印象だった。ゼロ発進からの立ち上がりや中間加速時のアクセルペダルの踏み込みに対するリニア感が優れている。車両重量が2500kgを超えるX7に対して、10%以上(270kg)も軽いのだから当たり前なのだけれど、それ以上に1500-2500rpm(X7 40dは1750-2250rpm)というより広いレンジで最大トルクを発生し続けるマネジメントが、差をつけているように思えた。
X6は、身のこなしも軽快だ。上級仕様としてV8 DOHCツインターボを搭載したM50iが設定されているのだが、街乗りレベルでの機動性はクリーンディーゼルモデルが上回っているだろう。