米国仕様は2グレードと限定生産モデルを設定
いままでに世界中で180万台以上が販売され、世界でもっとも売れているスポーツカーのひとつ、「ニッサン(ダットサン)Z」。その新型は、日本に先がけて、米国 ニューヨークで開催されたスペシャルイベントで初公開された。イベントのMCは映画「ワイルド・スピード」で有名になった故 ポール・ウオーカーの弟、コディ・ウオーカー。そして日産のアシュワニ・グプタ COO(最高執行責任者)が新型Zを紹介した。
2020年9月にプロトタイプが発表された段階で「95%出来上がっている」といわれていたとおり、今回発表された米国仕様のスタイリングは、プロトタイプとほとんど変わらないように見える。米国仕様のZは、「スポーツ」と「パフォーマンス」の2グレードに、240台の限定生産となる「プロト スペック」が設定される。
そのスタイルは伝統的な後輪駆動スポーツカーのデザインを踏襲し、ロングフードや低重心のリアスタンスなど、シルエットは初代のS30型をはじめとする歴代「Z」へのオマージュを込めたものだ。ノーズから四角いテールエンドに向かって流れるようなルーフラインや、テール部分がフロントフェンダーよりもわずかに低くなっていることなどが、独特のサイドシルエットを生み出している。
ヘッドランプはLEDで、S30型 240ZGを彷彿とさせる2つの半円がイメージされ、新型「Z」のアイデンティティと調和している。リアコンビランプは、4代目のZ32型を彷彿とさせるデザインに最先端の技術を取り入れ、新たに3DシグネチャーLEDを採用している。「パフォーマンス」グレードにはリアスポイラーも装着され、フロントスポイラーにはGT-Rで培ったノウハウが活かされている。
インテリアは先進技術にヴィンテージ感をプラスしたもので、メーターパネルは12.3インチのフルデジタル ディスプレイ。タコメーターの針が真上を指すと同時にシフトアップインジケーターが点滅してドライバーにシフトアップを促すなど、重要な情報を一度に表示できるようにした。表示モードも好みに合わせて3種類が選べる。
シフトレバーも新設計で、握りやすさと快適性を追求。深いスポークのステアリングホイールは、伝統的な美しさを損なうことなく、ドライバーが素早く操作できるようデザインされている。シートは、GT-Rの開発で培ったノウハウを活かし、ホールド性とフィット感を向上している。シートバックにはスエードを多用して、身体の横ブレを抑えて快適なドライブを実現し、またコーナリング時の身体の動きも抑制する。
ダッシュボード上には伝統の3連サブメーター(アナログ)も備わり、センターダッシュの8(グレードによっては9)インチのディスプレイはスマホとのリンクやニッサンコネクトに対応する。
パワーユニットは新開発の3L V6ツインターボで、米国仕様の最高出力は405ps、最大トルクは475Nm。トランスミッションは6速MTを標準とするが、新開発の9速AT(パドルシフト付き)も設定される。日産の後輪駆動車として初めて、クラッチ操作でエンジン回転数を保持し、停止状態からの加速性能のポテンシャルを最大限発揮するアドバンスト ローンチアシスト コントロールシステムも搭載した(AT全車と「パフォーマンス」のMT車)。
ボディ剛性も向上され、ラックアシストタイプのEPS(電動パワーステアリング)やワイドなフロントタイヤなどの採用で、コーナリング性能は最大13%向上している。また、減衰力を現行型より約20%低減させた新設計の大径モノチューブダンパーを採用し、路面突起乗り越し時のショックを低減しながら路面追従性を向上させ、高い操縦安定性を実現している。
ボディカラーは、モノトーン3色と、新色のセイランブルーとイカズチイエローを含む2トーン6色(いずれもスーパーブラックルーフ)を設定。インテリアカラーは、グラファイト、レッド、ブルーの3色を用意。「プロト スペック」では、インパネのステッチをはじめ、室内の随所に黄色のアクセントが施されている。
さて、気になる日本仕様の新型「フェアレディZ」は、2021年冬の発表を予定しているとアナウンスされている。早ければ2021年末か、遅くとも2022年の初春か。その登場が、いまから楽しみになってくる。
■ニッサン Z「パフォーマンス」(米国仕様) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4380×1844×1316mm
●ホイールベース:2550mm
●車両重量:未発表
●エンジン種類:V6 DOHCツインターボ
●排気量:3L
●最高出力:400hp<405ps>
●最大トルク:475Nm<350ポンドフィート>/5600rpm
●トランスミッション:6速MT または パドルシフト付き9速AT
●駆動方式:FR
●タイヤ:前255/40R19、後275/35R19
※数値は編集部換算値