「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、プジョー 508(初代)だ。

静粛性の高さとしなやかな乗り味は感動ものだった

画像: 407よりも質感が高められたインテリア。ステアリングのスイッチ類は少し煩雑。日本仕様には右ハンドルの6速ATが導入された。

407よりも質感が高められたインテリア。ステアリングのスイッチ類は少し煩雑。日本仕様には右ハンドルの6速ATが導入された。

スペイン東海岸の街、アリカンテを基点に開催された国際試乗会では、主にターボ付きの1.6L ガソリンエンジン+6速MTという仕様のセダンをテストドライブした。ちなみに日本に導入される仕様は、同じエンジンにアイシンAW製の6速ATを組み合わせたセダンとSWになるという。

走り出した次の瞬間に、まずはその静粛性の高さに驚愕した。ロードノイズは極端に小さく、エンジン音も極めて低いのだ。信号待ちでは、まるでアイドリングストップ機能が働いたかのように感じられた。実際には、そうしたメカは508では一部のディーゼルモデルにのみにしか用意されていないのだが。

次に、何ともしなやかな乗り味にも驚かされた。407の場合、そこに「猫足」という言葉を使うには抵抗があったが、この508はまさに猫足そのもの。一瞬、ボディ骨格を共有するシトエロン C5からハイドロサスペンションまでをも譲り受けてしまったのかと、そんな錯覚をしそうになるほどだ。

インテリア各部の見た目や質感も、もはやプレミアムを謳うドイツのライバルメーカー各社のモデルに見劣りしない。つまり端的に言ってしまえば、プジョー 508というクルマは「予想と期待を遥かに超えた1台」だったのだ。

画像: Dセグメントのクルマとは思えないほどエンジン音は小さく、ロードノイズも低く、静粛性もきわめて高かった。

Dセグメントのクルマとは思えないほどエンジン音は小さく、ロードノイズも低く、静粛性もきわめて高かった。

■プジョー 508 グリフ(日本仕様) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4790×1855×1455mm
●ホイールベース:2815mm
●車両重量:1520kg
●エンジン種類:直4 DOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:115kW<156ps>/6000rpm
●最大トルク:240Nm<24.5kgm>/1400-3500rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:横置きFF
●JC08モード燃費:11.0km/L
●タイヤ:215/55R17
●当時の車両価格(税込):414万円

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