2021年8月21〜22日、世界耐久選手権(WEC)の第4戦、第89回ル・マン24時間レースの決勝がサルテサーキットで行われ、トヨタGAZOO Racingの7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)が総合優勝を飾った。トヨタとしては2018年の初優勝から4年連続でル・マンを制覇、7号車にとっては悲願のル・マン初優勝となった。8号車も2位に入り、トヨタは新規定ハイパーカーでの初めてのル・マンを1-2フィニッシュで終えた。

8号車、そして7号車に襲いかかる燃料系トラブル

24時間にわたるレースは、トヨタ GR010 ハイブリッドにとって、簡単なものではなかった。

波乱に満ちたレースは、激しい雨の中、ヘビーウエットコンディションで幕を開けた。フォーメーションラップを終えて本格的なレースへのスタートが切られた直後、ブエミの駆る予選2番手の8号車は、グリッケンハウス708号車に追突され、最後尾まで後退を余儀なくされる。また、ポールポジションからスタートした7号車も、2度にわたるタイヤパンクに見舞われる。

それでも7号車は首位を堅守。一方の8号車も猛烈な追い上げで上位争いに復帰する。

画像: タイヤのパンクや燃料系の不調など、いくつものトラブルを乗り越えたトヨタGR010ハイブリッドの2台。

タイヤのパンクや燃料系の不調など、いくつものトラブルを乗り越えたトヨタGR010ハイブリッドの2台。

その後、再び降り出した雨により、あちこちでアクシデントが起きるものの、7号車がトップ、8号車がこれに続き、3位のアルピーヌ36号車以下との差を拡げていく。

ところが、レースが残り6時間を切った頃、トヨタのピットに緊張が走った。8号車に燃料系のトラブルが発生。ピットで作業すると大きなタイムロスとなるので、走り続けながら解決策を模索して周回を重ねる。

その後、7号車も同じトラブルに襲われたが、8号車で見つけた対策をドライバーが迅速に的確に行ったことで、トラブルを最後までコントロール。過去にさまざまなことがあったル・マン24時間レースだけに、3番手以下に2ラップ以上の差をつけてもなお、最後までピットに緊張感が漂った。

最後のスティントは、7号車は小林可夢偉、8号車は中嶋一貴がドライブ。最後の数周は2台によるランデブー走行となり、トヨタは1-2フィニッシュという最高の形で、ハイパーカーの歴史にその名を刻んだ。

画像: 4連勝を飾ったトヨタGR010ハイブリッド。次戦はバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われる。

4連勝を飾ったトヨタGR010ハイブリッド。次戦はバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われる。

燃料系トラブルは最後まで完全に修復できず

TOYOTA GAZOO Racing WEC チームの村田久武代表は「非常に困難な状況下での激しいレースでしたが、これぞまさにチームでつかみとった勝利です。ドライバーには沢山の難題を課すことになってしまいましたが、一切のタイムロスを生ずることなくやり抜いてくれました。彼らの技量には度肝を抜かれました」とコメント。優勝を飾った7号車のドライバーは次のように語っている。

画像: 第89回ル・マン24時間レースを制した7号車のドライバーたち、左からマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス。

第89回ル・マン24時間レースを制した7号車のドライバーたち、左からマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス。

小林可夢偉(GR010 HYBRID 7号車)

「ル・マンの勝者としてここにいるというのは、最高の気分です。ここに到るまでに、何年も何年も、様々な経験を経てきましたし、その中には本当に辛いものもありました。ル・マンに勝つためには運が必要だと常々感じていましたが、今日も運が必要でした。最後は走り続けるために、特別な操作をしなくてはなりませんでした。終盤の7時間は、とても難しい作業でした。通常であればそこでレースは終わりでしたが、チームが本当によくやってくれて、正しい判断で導いてくれたおかげで、なんとか最後まで走りきることができました。チームメイト、車両担当やエンジニアはみんなこのレースウィーク、素晴らしい仕事を成し遂げてくれました。彼ら全員に感謝します」

マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID 7号車)

「大変なレースでした。最後の6時間は、車両に問題があり、それが重大なトラブルに繋がりかねないことをよく分かっていました。しかし、チームが解決法を見出してくれたことで、最後まで走り続けることができました。1-2フィニッシュは彼らの努力の結果です。苦労しただけに、本当に格別な勝利です。このル・マン24時間というレースは、決して容易ではありません。首位を快走していても、いつ何が起こるか分かりません。ようやく肩の荷が下りたので、勝利の味をじっくりと噛みしめたいと思います」

ホセ・マリア・ロペス(GR010 HYBRID 7号車)

「ここ数年、我々にとってのル・マンは本当に厳しい戦いが続いていたので、やっと勝つことができたことは夢のようで、信じられません。我々は何年もこの偉大なレースに挑んできましたが、なかなか勝つことができませんでした。それらの経験があればこそ、今日の勝利は本当に格別なものになりました。マイクと可夢偉は私にとって兄弟のような存在ですが、彼らはひとたびレースカーに乗れば、信じられないようなパフォーマンスを見せてくれます」

WEC世界耐久選手権の次戦は、10月28日〜30日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われる第5戦バーレーン6時間。キャンセルとなった富士6時間レースの代替として開催される。全6戦で争われる2021年シリーズのWEC最終戦は11月4日∼6日のバーレーン8時間。

2021 WEC第4戦 第89回ル・マン24時間 決勝結果(LMP1クラス)

優勝 7 トヨタTS050 ハイブリッド(M.コンウェイ/小林可夢偉/J.M.ロペス)371周
2位 8 トヨタTS050 ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/B.ハートレー)369周
3位 36 アルピーヌ A480-ギブソン (A.ネグラオ/N.ラピエール/M.バキシビエール)367周
4位 708 グリッケンハウス 007 LMH (P.デラーニ/F.マイルー/O.プラ)367周
5位 709 グリッケンハウス 007 LMH (R.ブリスコ/R.ウェストブルック/R.デュマ)364周

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