2022年、プジョーは「9X8」でル・マンに参戦する!
2021年8月21〜22日に行われたル・マン24時間レースは、トヨタの4連勝で幕を閉じた。同じクラスで自動車メーカーのライバル不在という寂しさもあったものの、2022年以降のル・マン(世界耐久選手権/WEC)にライバルの参入が予定されている。中でも最初に登場する見込みとなっているのが、プジョーだ。
プジョーが2022年からの参戦を目指して開発を続けてきたマシン「9X8」は、2021年7月に発表され、そのスタイリングの独創的なカッコよさに驚かされた。プジョーの最新市販モデルに通じる斬新なヘッドライトには、既存のレースマシンとは一線を画す新鮮さを感じる。
また、一般的にボディよりも高い位置に配置されるリアウイングを持たないことも特徴で、ダウンフォースはボディ下面とダックテールのようなボディ一体型スポイラーで発生させると見られる。9X8は空力性能にある程度の制限を課せられるWECの新しいカテゴリー「ハイパーカークラス」に属しており、プジョーが独自のスタイリングを採用できたのは、この制限にもよるようだ。
コクピットからもデザイン面のこだわりを感じさせ、市販車と同じ「iコックピット」が採用されているという。カラーリングはプジョー スポールの新しいテーマカラーである、グレーとライトグリーンで構成される。
パワートレーンはエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムとなる。500kW(680ps)を発生する2.6L V6ツインターボエンジンでリアを駆動し、200kWのモータージェネレーター ユニット(MGU)でフロントを駆動する。この4WDハイブリッドの構成は、2021年9月25日にフランス本国で発表された市販のプジョースポールモデル「508PSE(508 プジョースポールエンジニアード)」と少し似ている。とはいえ、もちろんまったくの別物なのだが、市販車とリンクした技術といえるだろう。
リチウムイオン電池は、フランスの大手バッテリーメーカー「サフト」と共同開発している。サフトは石油会社トタルのグループ会社で、プジョースポールは常にトタル(かつてはエッソ)と組んでモータースポーツ活動を行ってきた。また、プジョー擁するステランティスとサフトは、2020年9月に合弁でバッテリーのギガファクトリー「オートモティブ セルズ テクノロジー」を設立しており、これはプジョー(ステランティス)の電動化計画における重要な事業である。こうした計画に連動して、ル・マン参戦プログラムが遂行されているわけだ。