初のBEV専用アーキテクチャーの採用で実現した圧倒的な完成度。「最善か無か」というメルセデス・ベンツの哲学に基づいて完成された次世代高級車の先進性を、スイスで開催された試乗会で確認した。(Motor Magazine2021年10月号より)

ライバルが目指すBEVの新たな目標となる高級車

標準装備の可変コントロールを持ったエアマティックサスペンションはエコ&コンフォートモードでは車高は速度に応じて自動的に調整されるが、スポーツに切り替えると、130km/h以上になるとローダウンして空力特性とロードホールディングを向上させる。

このシステムは非常に快適で、比較のために後日試乗したずっと軽いS500(1945kg)に勝るとも劣らない。ただし640kgも重いEQSは起伏のあるサーフェスではボディが浮き上がる傾向があった。それ以外では路面からの突起や継ぎ目の吸収具合は素晴らしかった。

驚いたのはキャビン内の静粛性で、100km/hを超えても風切り音のレベルは非常に低く、さらにタイヤノイズの低さが印象的だった。テスト車に装備されていたのは265/40R21サイズのグッドイヤー イーグルF1であったが、滑らかな高速道路はもちろん、ラフな表面のコンクリート道路でも路面からのノイズはほとんど聞こえてこない。この静けさだけでも買う価値は十分にある。

画像: ドアを開ければダッシュボードいっぱいに広がるハイパースクリーン(幅は1.4m)に驚かされる。先進の移動空間はかくのごとし。

ドアを開ければダッシュボードいっぱいに広がるハイパースクリーン(幅は1.4m)に驚かされる。先進の移動空間はかくのごとし。

またブレーキペダルのフィーリングだが、これまでメルセデス・ベンツのBEVはやや効き始めのポイントに不満が残っていたが、EQSでは多くの電子回生機能が組み込まれているにもかかわらず非常にスムーズで、確信をもって減速することができた。

冒頭に述べたように、EQSはメルセデス・ベンツエンジニアリングとしては初めての本格的なBEVへのアプローチである。ゼロからスタートした新しいアーキテクチャーのお陰で従来のEQモデルにはない先進性と整合性を有し、妥協が少なく、ハイレベルでの品質も十分に備えていた。他メーカーの目指すBEVの目標になるに違いない。(文:木村好宏/写真:ダイムラーAG)

メルセデスEQ EQS450+ 主要諸元

●全長×全幅×全高:5216×1926×1512mm
●ホイールベース:3210mm
●トレッド前/後:1667mm/1682mm
●車両重量:2480kg
●モーター:永久磁石同期モーター
●システム最高出力:245kW(333ps)
●システム最大トルク:568Nm
●バッテリー総電力量:107.8kWh
●駆動方式:RWD
●ラゲッジルーム容量:610L/1770L
●最高速度:210km/h
●0-100km/h加速:6.2秒

メルセデスEQ EQS580 4マティック 主要諸元

●全長×全幅×全高:5216×1926×1512mm
●ホイールベース:3210mm
●トレッド前/後:1667mm/1682mm
●車両重量:2585kg
●モーター:永久磁石同期モーター×2
●システム最高出力:385kW(523ps)
●システム最大トルク:855Nm
●バッテリー総電力量:107.8kWh
●駆動方式:4WD
●ラゲッジルーム容量:610L/1770L
●最高速度:210km/h
●0-100km/h加速:4秒

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