2009年のデトロイトモーターショーでマセラティ クアトロポルテの最スポーツグレード「スポーツGT S」が登場した。マセラティ躍進のキーワードは「S」にあるというが、この「スポーツGT S」はマセラティに期待される「二面性」をさらに明確にしていた。イタリア・モデナで行われた国際試乗会の模様を振り返る。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年6月号より)

SPORTボタンを押すことで性格がガラリと変わる

と、ここまでのジェントルな印象は、ボタン操作ひとつで一変する。センターコンソール左上にある「SPORT」と書かれた小さなボタンを押す。すると、今まで抑制されてきたフォースが解き放たれるかのごとく、もうひとつの顔が表れる。

まず、先ほどまでの通常モードでは閉じられていた排気システム内のフラップが開き、V8エンジン特有の、抜けの良い乾いたエキゾーストノートを高らかに響かせる。

それにともないアクセルペダル操作に対するレスポンスも向上。クルマ自体が軽やかになり、さらにはボディの隅々にまでドライバーの意志が行き届いていくような感覚さえ芽生えてくる。先ほどまで多少硬さが感じられた乗り味は、このスポーツモードでは「安心感」という言葉に変換される。純正指定タイヤ ピレリPゼロの粘るグリップ感覚も、スポーツGT Sの特性に合っている。

画像: より大型化されたパドルシフトが特徴的なインパネ。シート、ステアリングとも本革+アルカンタラ仕上げで手触りはよい。

より大型化されたパドルシフトが特徴的なインパネ。シート、ステアリングとも本革+アルカンタラ仕上げで手触りはよい。

スポーツGT SはMCオートシフトと呼ばれる6速トルコンATを採用する。シフトノブを左に倒すとマニュアルモードになり、8000rpmからレッドゾーンのリミットまでギアをキープしながら澱むことなく回転を上げてゆく。左手パドルを使えばブリッピングを伴いシフトダウン、滑り感のないダイレクトな感覚を与えてくれる。

とにかくスポーツモード、時間も忘れドライビングに夢中になってしまいがちだが、車外に出てそのノートを聞くとかなりの音量なので、このSPORTボタンを押す場所や時間、タイミングには注意したい。

ラグジュアリーとスポーツ。相反する2つの魅力を同居させながらも、その二面性をさらに明確にしたクアトロポルテ スポーツGT S。日本での発表は2009年5月、デリバリーは秋ごろになりそうだ。(文:Motor Magazine編集部)

マセラティ クアトロポルテ スポーツGT S 主要諸元

●全長×全幅×全高:5097×1895×1423mm
●ホイールベース:3064mm
●車両重量:1880kg
●エンジン:V8 DOHC
●排気量:4691cc
●最高出力:323kW(440ps)/7000rpm
●最大トルク:490Nm/4750rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●EU総合燃費:6.4km/L
●タイヤサイズ:前245/35ZR20、後295/30ZR20
●最高速度:285km/h
●0→100km/h加速:5.1秒
※EU準拠

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